ウィザードリィ外伝4が発売されたのは1996年。
SFC後期、新作ソフトの値段が10000円を越えていたころ。肥大化するロム容量はついに40メガに達した。重厚長大なソフトが、毎月数え切れないほど発売されていた。
そして新世代ゲーム機の登場後もSFCはまだ死んではいなかった(今も死んではいない?)。そんな時代の物語…
本作はニンテンドウパワーのカートリッジを丸ごと使用する。はっきり言ってデカい。
その大容量ゆえにグラフィックや音楽はかなり綺麗。そしてモンスターやアイテムの種類はものすごい。
だけど…
ようやく、緋蓮城に平穏が戻った。そんなおり、町でのうわさ話。「異国へ通じるゲートがあるらしい」…マゲを結ってる人が「ゲート」なんて言うと気持ち悪い。
場所は見当がついている。古の洞窟1階にどうしても入れない部屋があったのだ。
行ってみると、説明もなしに部屋は開いている。中には天球儀が。「さわるべからず」と書いてあるのを、プレイヤーの意思と無関係にスイッチを押す冒険者たち。
すると突然見慣れない、西洋風の教会のような場所にワープさせられてしまう。
中にいたあやしげなフードの人物に話を聞いてもよく判らないので、外へ出る。そこは西洋の城だった。
城下町の名前は「リルガミン」。多くのWIZシリーズの舞台である。
ここにはWIZシリーズおなじみの多くの施設がある。
*ギルガメッシュの酒場
冒険者はここでパーティを組む。緋蓮城の弁天酒場と同じメンバーが使える。
*ボルタック商店
この街でただ一つの店。緋蓮城の大黒商店と同じアイテムを売っているが、こちらにしか入荷しないものもある。しかし二つの店は連動しており、大黒で売り切れるとボルタックでも売切れている。
*冒険者の宿
緋蓮城にあった冒険者の宿といっしょ。「松の間」が「ロイヤルスイート」など、部屋の名前が他のWIZと同じに戻ってる。馬小屋も健在。
*カント寺院
緋蓮城にあった神鳥寺院と同じで、復活や治療を行う。「背教者め!」である。
訓練場が無い以外、見事に東洋と同じだ。なお、緋蓮城にはLRボタンで一瞬で戻ることができる。
さて、この街は大変な騒ぎになっている。なんと街の住人がある朝目覚めた時、モンスターの姿にされてしまったというのだ。見た目以外問題はないらしいが、気持ちのいいものではない。と言いたいのだが、冒険者の出会える街の住人は数えるほどしかいない。酒場の親父と商店の親父、寺院の親父と宿屋のおかみ。この4人だけ。
商店の親父は緋蓮城のほうに出張してたので難を逃れた。寺院の親父はフードかぶってて判別不能。宿屋のおかみはなぜか平気だった。
つまり怪物になったのは酒場の親父だけ。ま、まあ、画面に映らない人たちがモンスターにされたんでしょう。別にグラフィックを用意するのが面倒だったと言うわけではないでしょうよ。
それはさておき、酒場の親父、「娘が帰ってこないから探してほしい」と言う。4人の住人の情報によると、酒場の娘は「聖域」という東の塔に行ったらしい。他にいける場所もないので、必然的に冒険者はここへ向かうのであるが。
状況から察するに、賢者その1(まだ本名不明)もたぶんここに飛ばされたのだろう。謎の発言の真相も明かされるかもしれない。
「聖域」という名前とは裏腹に、ここは「魔の領域」と化しているらしいことを冒険者は感じる。そして実際にモンスターだらけ。
それはいいのだが、なぜ古の洞窟とまったく同じ(しかも中レベルくらい)敵なのか?
というか、和風世界と同じ敵なのになぜ西洋でも違和感が無いのか?
敵が同じである以上戦闘はおもしろくない。それでも、古の洞窟よりスイッチや罠が多いので楽しみはある。ただしボスキャラは弱い。1ターンで倒せる。
塔を進むうちに酒場の娘らしい幻影を見かける。そして最後の部屋には黒服をまとったその娘が。彼女は老人の声でしゃべりだす。
しかもその声には聞き覚えがあった。
「くそっ、もう来たのか!しかし
邪魔はさせんぞ!あの御方さえ蘇れば
この世は我らのものなのだ!」
そして襲い掛かってくる老人声の女。何かに操られてるとしか思えないが、襲い掛かられては当義殺(正当防衛)がなりたつ。それに「説得」コマンドなんかないので、何の躊躇もなく攻撃。
わずか3回の攻撃で撃破。
すると娘とダブって賢者その1の姿が。
「おのれ!またしてもきさまら
冒険者ごときに敗れるというのか!
いったい貴様らの目的はなんだ!?
金か?地位か?力か?
まさかこの娘の命
というのではあるまいな?
そんなくだらない物のために
我らの偉業を邪魔したというのか!
くそっ、私はこれまでのようだが
すべてを思い通りにはさせんぞ!
きさまらに
この娘を救けることはできん!
ハハハハ
なぜだか分かるまい?
すでに運命の歯車は
回り始めているのだ!」
そう言い残して娘は事切れた・・・。
ハハハハ。
ゲームのセリフをそのまま抜き出すと、画面の印象が伝わらないために、なんか白々しくなってしまうものだが、こいつの場合はまったく動かないので、これ以上伝えるものがない。(最初に部屋の様子を説明してはいるが。画面が動かないのなら、メッセージに状況描写を入れるべきだろう)
で、やはり黒幕は賢者その1だったわけだが、彼の目的はまったく明かされない。相変わらずこの口上だけ。
「あの御方」も「我らの偉業」もなんなのか謎のまま。妙に三流RPGっぽい響きだが。
「語られない部分を想像でおぎなう」という魅力もWIZシリーズにはあるが、これの場合ほんとに説明してないだけという気もするが…
***
街に帰ると住人たちはもとの姿に戻っていた(といっても酒場のオヤジだけだが)。これも賢者その1が原因だったらしい。説明は無いが、そうらしい。
冒険者は酒場の親父に娘のペンダントを渡す。娘は賢者その1のせいで死んだのだが、直接(前列3人のタコ殴りで)殺したのは冒険者。三つの塔に続いて、また自己嫌悪ムードにさせてくれる。
親父はペンダントをその場にいた青年に渡す。彼は娘の恋人か何かだったのだろう。ペンダントを受け取って押し黙ってしまう。と、その時。
と、その時、彼の心に
なぞの言葉がひびいてきた。
「死は終りではない・・・
・・・三種の神器・・・
・・・祭壇・・・ふっかつ・・・。」
すると青年は店を飛び出してしまう。「おい!どこ行くんだ!アガン!」と酒場の親父。
…ちょっと待って欲しい。声が聞こえたのは冒険者(プレイヤー)ではなく、青年である。ナレーターがアガン青年の心の中を教えてくれたのだ。
そして死んだ娘の名は「ダリア」、青年は「アガン」。聞き覚えのある方もいるだろう。この青年こそはWIZ外伝3のキーパーソン、アガン王その人である。(ついでにシナリオライターの名前でもある)
ここから非常に長いエンディングが始まる。スタッフが1人1画面ずつ表示されるためである。しかも、ちょっと前に見た時代劇風エンディングとまったくいっしょの面々だ(ただしスタッフロールは英語)。
そのエンディングの最後のほうのグラフィックから、「アガンは死んだダリア復活のためにあやしげな声に従って3種の神器(緋蓮城で冒険者が集めたのとまったく同じ)をあつめ、それでなんか儀式をして…」ということがわかる。
そして最後にこの一文。
Scripture
of
the DARK2
END
あれ?シナリオタイトルが違ってる??「胎魔の鼓動」だったのに、「闇の聖典2」???
説明しよう。WIZ外伝3のサブタイトルが「Scripture of the Dark」だったのだ。つまりリルガミンに来てからは「ウィザードリィ外伝IIIその2」になってたというわけだ!
そしてここの内容は外伝3をやったことない人には置いてけぼりで意味不明だっただろう。私もそうだった。
ただし、外伝3やったあとでも元凶の賢者その1がなんなのか分からない。あれだけ思わせぶりな発言を繰り返していたが、どうせ世界制服を企む悪魔とかそんなところだろう。はっきり言って、それ以外想像の余地がない。
真の元凶は冒険者なのだが。
***
賢者その1(最後まで本名不明)やアガン青年のことなど忘れて、新たな旅が冒険者には待っている。エンディング後のうわさ話。「ものすごいモンスターのいる洞窟が見つかった」。娘を殺された親父さえもその話題だ。プレイヤーは結構気にやんでるから、少しはフォローしてくれ。ええ、所詮ゲームの世界の出来事ですとも。けどね…
リルガミンの町外れ、新たに追加された迷宮は「Dragon’s Cave」(ドラゴンの洞窟)。2度のエンディングを経て、ここが正真正銘、最後のダンジョンだ。
自然にできた洞窟らしいとは冒険者の感想だが、どういうわけか石材ブロックで造られている。ドアまである。
まあ今更こんなツッコミは無意味だろう。WIZじゃ当たり前だし。
ここは名前のとおりドラゴンばかり住んでいる。そして今までの敵とは全然能力が違う。とにかく強い。物理攻撃は一撃必殺、魔法は最強のものを使用、高い生命力と無敵の装甲、さらには凶悪なブレスを吹かれて一瞬で全滅・・・
が、戦術性が高くなったわけではなかったりする。基本的に殴ってれば運しだいで勝てる、というより運で勝敗が決まる。いちおう魔法も効かないことはないが、殴るだけで勝てない場合、有効な魔法は「コルツ(魔法とブレス防御)」「モーリス(敵の守り低下)」だけ。それでもダメな時の対策と言えば、「レベルを上げて装備をととのえる」ことだけ。力押しでGO!
***
この洞窟の1階は名前の通りのドラゴンの巣窟だ。2階にはより強力なドラゴンと、それ以上に強力な悪魔が出現する。3階は悪魔の割合が多くなる。4階は大半の敵が悪魔。
まあ、ドラゴンばかりだと飽きる。ドラゴンの攻撃で恐ろしいのは全ドラゴン共通のブレス能力だけだからだ。対策も全部いっしょ。
そんなわけでドラゴンの区別は色とぐらいしかない。その上種類はやたら多い。
(実はドラゴンの半分くらいは東洋系。「ブルードラゴン」と「セイリュウ」が同じフロアに出現して、ただでさえ区別できないのに非常に紛らわしい。だいたいなんで東洋でも出現しないやつがここにいるのか?)
悪魔達はその点個性的…でもない。悪魔の能力もどれも似たようなものだったりする。確かに悪魔の種類によって「魔術師呪文を使う」「僧侶呪文はきかない」などの大きな違いがあるのだが、実際のところ怖いのはブレスだけで、他はどうでもいい。悪魔はブレスなしのも多いので、ドラゴンより手を抜いて戦える。
たまに4レベルドレインとか使ってくるやつもいるが、対策は先に倒すだけ。
その上、外見上の個性はドラゴン以上にわかりにくい。名前も覚えにくい(ウァラクとかゴモリとかシュトリとか、悪魔の辞典から適当に引用したと思えるのが多い)。しかもこれまた種類だけは多い。
あと、ドラゴンでも悪魔でもない敵がわずかに存在する。「ダークロード」「みふね」「のぶなが」など、人間系の敵である。
それで、種類は多いが、攻略上重要な特徴は「ブレスを使うかどうか」と、あとは「防御が硬いかどうか」ぐらい。ドラゴンもひっくるめて、たった4タイプに分類できてしまう。対策はみんないっしょで「力押し」「攻撃される前に倒す」だけである。実は分類の必要さえない。
***
最後に「古代のしんでん」のような場所にたどり着く。女神の彫像を調べると、ペンダントを発見。プレイヤーの意思と無関係に勝手に取る冒険者。
すると、横に置いてあった鎧「ダイヤモンドナイト」が襲ってくる。こいつも外伝3に登場してるし、WIZ3とも関連があるので原作ファンならニヤリとしてやってくれ、という狙いがミエミエ。
こいつは別格で強い。HPだけは。
他の敵の数十倍の体力があるので、普通に戦うと数十ターンかかり、パーティの大半が殺される。
ただし、ブレスなどの恐ろしい攻撃はなく、ただの力バカ。一撃必殺もあまり使ってこないので、時間をかければ倒せる。こんなのがダイヤモンドの騎士か!?
ただしもっといい攻略法もある。このゲームには敵を瀕死状態にする「ラバディ」という魔法がある。
普通ならダイヤモンドナイトはこの魔法を完全無効化するのだが、このゲームにはもう一つ、敵の魔法無効化じたいを打ち消す魔法「ノーフィス」がある。それを唱えてからラバディ。ダイヤモンドナイトに10000程度のダメージをあたえ、残りHPは数ポイント。次の攻撃でダイヤモンドナイトは一撃死する。
どちらの魔法も最初の塔で覚えられる程度の魔法だ。最初の塔で全部の魔法が覚えられるので当たり前だが。
この方法なら1〜2ターンで殲滅できる。この方法は当然他のすべてのモンスターに通用するし、単体にしか通用しない以外のリスクはほとんどない。もはやゲームではなくなりつつあるが。
+++
ドラゴンの洞窟が最後のダンジョンだと言ったが、実はここまで一度も触れてこなかったダンジョンがまだある。東洋のほうにある、「練武場」である。名前の通り、トレーニング用の迷宮であり、スタートした時から入る事はできたのだが…
ここは「死亡したモンスターをかき集めふっかつさせて閉じ込めておる」迷宮だ。どうやって死体を回収するのかは知らないが、人間系の敵まで問題なく登場したりする。倫理的には絶対ヤバイ。(FF10の訓練場とおんなじだ☆)
構造はいたってシンプル。一つのフロアに10個の部屋があって、各部屋に敵グループが出現するので、そいつらを倒して経験を稼ぐのだ。
しかし実はレベルアップには使えない。この迷宮は掘りさげてる途中であり、先のフロアに進むためには、そのフロアに登場する全種類の敵を他の迷宮で一度倒す必要がある(例をあげると、9階に進むにはドラゴンの洞窟の全部のドラゴン系の敵を倒す必要がある)。
本作のモンスターは無駄に種類が多くて、その上に出現率の低い敵がいるため、練武場で先のフロアに進むためには必然的にそのフロアの敵に全部楽勝できるレベルになる。これでは、「とくてんとして」全滅したとき町に送り返してくれるシステムも役に立たない。
さらに加えて、敵が強くなるのが8階くらいからなので、そこまではえんえんと相手にしたくもない敵を倒し続けることになる。おまけに敵を倒した部屋は冒険を中断するまで敵が復活しないので、深いフロアに着いてから粘るのもめんどくさい設計となっている。
そして致命的なことに、ここで敵を倒してもアイテムが手に入らない。結局、他のダンジョンで稼いだほうが圧倒的に効率がいい。
では、なんでこんなのを今ごろ取り上げるのか?
この迷宮は全フロア全く同じ構造で、必ず下への階段があるのだが、最下層はどうなってるかという疑問が残る。
それでがんばって最下層まで掘り進めてみる。倒してない敵がいるダンジョンの見当をつけて、そこでターゲットが出現するまで戦い続けるのだが、だいたい古の洞窟の6階とか半端な所にいる。ただでさえ戦闘が単調なのに、一撃で倒せる敵しかいないフロアで戦い続けるのは正直つらい作業だ。
運にもよるが、ターゲットの捕獲には5時間くらいかかる。アニメーションとBGMを切って、可能な限り速くしよう。よけい単調になるが。
全種類の敵を倒して、ようやく練武場最下層、10階への道が開けた。ドラゴンの洞窟後半で楽勝できるパーティに怖い敵など1人もいないが、10階の奥までは100回の戦闘をこなす必要がある。ほとんどノーダメージだが、同じ構造のフロア×10。所要時間約20分。飽きた。
それでも最深部に到達。そこは階段ではなく行き止まりだった。練武場を掘ってきた男の死体がある。「この先はまだほることができんのだ」って言ってた男だ。こいつがつるはしを使って、一人で掘り続けてきたらしい。「両手は石化し、両足はすみの様に黒こげ」になっている。
どうしたのかと調べる冒険者。すると後ろから謎の派手な着物女、「よみごぜん」が襲い掛かってくる。
かなりの強敵なのだが、ダイヤモンドナイト以上ではない。同じ方法でサクッと倒せる。
すると「まもののしょ」という本が見つかる。
魔物の書を練武場の入り口に持って帰ると、番人がこう言ってくれる。
とうとう、この大地の
忌まわしい呪いを解き放ってくれたな。
礼を言うぞ。
え?さっきのが真の元凶だったの?!
しかし魔物の書を渡しても何も変化はない。モンスターのグラフィックが見れるモードに入れるようになるだけだったりするのだが…(「すべてを超えし者」がいればいいのか、という問題もあるが)
***
まあ最後は和風のボスで締めてくれた。和風に始まり、和風に終わる。綺麗にまとめてくれたものだ。
***
などと冗談はやめておこう。
「ウィザードリィ」は戦闘をメインに設計されたRPGだと言われる。
それはともかく、外伝4は戦闘がつまらない。前半も後半も「殴ってりゃ勝てる」単調な戦闘である。戦闘を単調にしている理由はいろいろ考えられるが、最大の原因は魔法体系である。
前半のうちは魔法がいらないことは既に述べた。が、後半(主にドラゴンの洞窟)も攻撃魔法は役立たずなのだ。固定ダメージのうえ、昔のシナリオと数字が変わっていないからだ。レベル30の戦士の一撃は300ダメージにもなるが、魔法はせいぜい100ポイント。敵の体力が高くなった本作では魔法で敵を倒すのが困難だ。考えるまでもないが、HP150ぐらいの敵しかいなかったシナリオと同じ魔法で通用するわけがない。
それでも魔法の最大のメリットは攻撃範囲の広さだが、後半になっても敵の出現数が少ないので、呪文なしでも事足りる。後列から攻撃できるメリットも後列武器が増えた事で意味がない。何より、本作の敵の魔法無効化確率が異常に高いので、使っても効き目そのものがない。
以上の理由で攻撃魔法を使う必要はまったくない。一撃必殺魔法は通用するかもしれないが、不安定で期待はできない。何より、防御を優先したほうがいい。
必要なのは回復魔法と補助魔法だけということになる。しかし補助魔法も無効化されて使い物にならないものばかりで、効果があるのはモーリスとコルツぐらい。回復も戦闘中はあまり使わない。
…結局、「たたかう」が戦闘のメインである。魔法を使えないのなら、それしか選択はない。「必殺技」とかは持てないのだ(場合によってブレスとかあるが)。職業が増えたのに、個性は減っている。
***
以上のことなど踏まえ、後半の戦闘シーンの攻略法をまとめてみる、いや、みましょう。
*ブレス、魔法を防ぐには、魔法防御の呪文「コルツ」を使うか、耐えられる体力を身につける。ブレスは吹かれる前にダメージを与えると弱まるけど。
*高い防御力には防御低下の呪文「モーリス」(ディルトやポーバ、マポーバでもいい)で対抗する。さもなくば防御を打ち破れるレベルで挑むか、いい装備を手に入れる。
*魔術師はコルツとモーリスを使えば十分、というか他は使用禁止。嫌なら魔術師をやめて戦士系に転職。
*あとは戦士が殴ってればOK。それでAll Right!
*…まだ不安なら、戦闘前にリトフェイトをかけとくと先制攻撃されなくなるからラクだぞ。つーか先制ブレスは即死確定だぞ。
ようするに、「コルツ」「モーリス」以外の魔法はほぼ役に立たない。そしてどちらも低レベルの魔術師呪文…最高の7レベルまでの全レベルが使用回数9なのに、使われるのは2とか3とかだけ。レベル3が切れたら街に帰還するタイミングだ。たとえ最高レベルが全部あまっていても、レベル3のコルツが使えないとあぶない。なんなのだこの状況。
一見適当なこの攻略だが、実際これ以上書く事がないだけである。この戦法はいかなる強敵にもただひとつの例外なく通用する。モーリスもコルツも無効化できないからである。味方にかけるコルツはともかく、なんでモーリスは無効化できないのか?もちろん、昔からの慣例であろう。(じゃあなんでマモーリスは無効化できるんだろう)
そもそも、「レベルが不足してたらレベルを上げましょう」って攻略とは言えないが、対策は他にない。だが、ここでもう一つの問題が発生する。このゲーム、すぐ成長限界が来てしまうのだ。魔法は最初の塔ですぐ覚えきってしまう。キャラクターの能力値もすぐにいっぱいになる(おかげで、ふいうち以外で先制攻撃されることはまずない)。
いちおう、レベルが上がると攻撃性能がわずかずつ上昇していくし、HPは目に見えて上がっていくが、それでも成長の楽しみが半減している。そしてレベル上げ戦闘もつまらない。
いい装備を手に入れるのも、敵を倒すしかない。そのためにはレベルを上げて…
で、レベルを上げてからは今度は急に敵が弱くなる。レベルを上げる必要が出てくるのはドラゴンの洞窟1階だが、なぜか浅いフロアと深いフロアで敵の強さがそれほど(少しは違うが)変化していかないために、1階付近を乗り切ると後半ほどラクになっていく…はて?特に最下層の4階など1体しか出ない悪魔がほとんどで、コルツも使う必要がなかったり…
ただ、サイコロ運がよければ低レベルでも被害が少なくて勝てることもある。逆にレベルを上げてもなす術もなく殺される事もある。シナリオ同様、置きざり感が強い。
敵の側も問題がある。魔法が弱いのは敵も同じこと(そもそも使用確率そのものが低い気がするが)。敵も物理攻撃とブレス攻撃以外の能力がない。特殊攻撃など誰も使ってこない(毒攻撃や麻痺攻撃くらいは使ってくるが)。種類が増えたのに個性が減っている。後半強くなるにしろ、ドラゴンボール後半の「スーパーサイヤ人のバーゲンセール」状態で、個性などないに等しい。ときどき「スーパーサイヤ人2」が混じってるくらい。WIZならではの、個性と魅力のあるモンスターがいないのだ(そいつらと名前だけ同じ奴なら何体かいるけど)。
そもそも、古いウィザードリィのシステムは数百体ものモンスターに個性を出すのが難しい(古いだけあって、能力のバリエーションがそんなに多くない)。
戦闘の基本要素を、傑作であるオリジナルそのままに、「殴ってりゃ勝てる、というか殴るでしか勝てない」単調戦闘にリメイク。
十数年間も進化しないゲームシステムで、なおかつ昔よりバランスが悪くなってどうするのか。
このゲームの魅力とは何なのだろうか。
「音楽やグラフィックがいい」なんてFFシリーズを弁護するときの決まり文句では怒られるだろう。
ダンジョンRPGとして、迷宮探索の魅力は?三つの塔や聖域はけっこう仕掛けが多いけど、ごり押しで攻略できてしまうし、何より他の迷宮がおもしろくない。まあ、そこそこではあるけど、それ以上とも…
ならキャラクター育成の魅力はどうだろう?WIZはキャラクターを自作する所からはじめるゲーム。パーティ編成は楽しいし、自分でつくり育てたパーティには愛着もわく(キャラ萌え)。自分でつくったキャラに気がついたら背後設定を考えてしまう人も多い。
しかし本作は魔法が使い物にならないため、職業が多いくせにパーティ構成に面白みがない。(職業が違っても能力がほとんどいっしょ。ただし4系統の呪文それぞれに微妙に重要な呪文があるので、なんとかすべて確保するというパズル的要素がなくはない)。しかもこいつらがイベントで勝手に行動しやがるために感情移入もしにくい。私はそうだった。
…いや、WIZといえばアイテム集めとレベル上げだ。
本作のアイテムの種類はシリーズでもトップクラスに多い。ドラゴンの洞窟を突破して、最後の敵を倒した冒険者はボルタックの店頭に全てのアイテムを並べるべく戦い続ける事になる。中途半端な性能のアイテムを手に入れるべく、古の洞窟に戻ることもある。とにかく敵を倒し宝を探し続けるのだ。
すべて揃えたあかつきには、続編「ディンギル」で本作のキャラクターを使用するための「転生の書」を手に入れることができる。…らしい。
レベルもどんどん上がっていく。レベルアップに必要な経験値がレベル13からは増えていかないので、後半は一度の冒険で何回もレベルが上がる。100を越えても果てしなく増えていく。…はずだ。
戦闘がつまらんのに何でこれ以上戦わなきゃならん?
+++
ウィザードリィで、「アイテム集めが楽しい」とか言われたのはいつからだろう?…おそらくは発売された当初からだろう。
試しにプレイしてみるがいい。強敵を倒して村正が手に入った時の感動はドラクエやFFではなかなか味わえない。レアアイテムを求めて地下10階で怪物どもと戦い続けるのもまた楽しい。入手がかなりランダムなのが良いわけである。
だが忘れてはいけない。ウィザードリィは、「アイテム集めも楽しいRPG」なのだ。
アイテムを集めるのも楽しいけど、戦闘が面白くなくては意味が無い。何より魅力的な世界観があってこそである。
戦闘シーンが殴り合いだけだったり、インチキ和風なのか何なのかわけわからない世界だったり、「若様ご乱心」シナリオだったりするとどうしようもない。
それでも、アイテム萌えでアイテム集めだけでも楽しいというのならば、本作はすでにゲームではない。何しろ入手がランダム。新しいアイテムを目指してガチャポンを回し続けるだけのミニゲームと同じだ。
もっとも、外伝4ほど巨大なガチャポンは他にはない。その論法でなら誉められるかも。誉め言葉に聞こえないだろうけど。
(果てしないレベル上げは、文字通り果てしないので、わざわざ外伝4に手を出さなくてもいいはず。レベル上げが簡単なシナリオであるとはいえ)
NPソフトの遊び方シートでは「Mrメモリ」なる人物がそのゲームの解説をしている。
NP版WIZ外伝4の解説はこんな感じ。
その異色なゲーム性に熱烈なファンが多いロールプレイング、それが『ウィザードリィ』シリーズ。このゲームを一口に言うと、「硬派」「シュール」「シビア」といったところだ。
それって「レーシングラグーン」のことでは…(続編希望さ)
もともとファンタジーなんだけど、甘ったるい雰囲気なんてこれっぽっちもない。あくまで暗く、おどろおどろしい空気にあふれているのだ。
「甘ったるい」って?
この『外伝IV』でも、もちろんそんな世界観を存分に満喫させてくれる。今回の舞台は東洋で、神秘的かつ、オリエンタルイメージたっぷりのモンスターが続々登場。
どこがだ。
どこかで見たことのあるようなものから破天荒なものまで、気色悪いヤツが450種、計2000パターンもそろっているのだ。
数にこだわってばかりか。個性が無いやつが増えてどうする。
さらに、ゲームスタイルが「暗さ」を一段あおり立てる。プレイしていてもかわいい女の子や感動のシーンなんて存在せず、ただひたすらダンジョンを探索するだけ。この孤独さは、まさにこの世界観にピッタリだ。
まさに本作の本質をピタリ言い当てている。実際プレイしてても暗い気分になってくるし、魅力的なキャラクターはいない(ラスボスでさえも!)。感動もできない。ただひたすらダンジョンを探索する(マップを埋める)だけ。
それにしても「感動のシーンなんて存在せず」とは。確かに私もそう思ったが、この発言にはアガン氏も怒るか、悲しむと思うぞ>Mrメモリ。
従来のロールプレイングに退屈を感じているキミ、ぜひこのゲームをプレイしてみてはどうかな。
私は勧めない。絶対に。
思わずMrメモリ氏のセリフを全部引用してしまった。
Mrメモリに言いたい事は、「Wizardry」だからって「傑作」だと決め付けて、感想も捻じ曲げてないかってことだ。
それは「FFだからいいゲーム」って決め付けるのと全く同じ論法だ。(まあ遊び方シートにそのゲームの批判が載ってるわけはないが。微妙に解説が変なのはMrメモリが本音を書けないジレンマからきてる可能性は否定できないかも)
もとのWIZがいくら良かろうと、私は外伝4を楽しめなかった。なぜかキャラクターに愛着がわいてこないのだ(勝手にスイッチを押すな)。強くなる事の虚しさも感じた(しかもかなり早くに)。序盤の単調な戦闘は全てこの単純作業の前哨戦だったのか?(最終的に何か残るのか?)
それでもクリアしてしまうのだから、私もダメなWIZオタクと呼ばれても文句が言えないが…
+++***+++
この世には知らねばならぬことがある。
***
たとえ内容の無いアイテム集めとレベル上げしかなかったとしても、内輪ウケっぽくても、思いきり好みが分かれるシナリオであったとしても、ゲームバランスが腐っていても、操作性が前の作品より劣っていても、理屈を越えて単純につまらなかったとしても、データ消滅バグがあったとしても、そのゲームを否定したくはない。私の好みじゃないというだけだ。(内輪ウケとか好みの分かれるシナリオは本当は嫌いじゃないが、それならそれでもっといい方法があると思う。アイテム集めも内容があれば好きなのだけど…)
しかし、そんなゲーム性で「渋い名作」「元祖RPG」「RPGマニア向けの傑作」扱いされてはたまらないというところがある。ウィザードリィならいいというものではない。いくらWIZを名乗ってたって、こんなのは、ただ古くさいだけのRPGである。
そもそも、ドラクエもFFもWIZの影響をもろに受けたRPGだった。パクリといっても過言ではない。
そしてドラクエもFFも多くのユーザーの支持を得た。今でも続編が作られ続けている。
この2作だけではない。ほぼ全てのコンピューターRPGは多かれ少なかれ、WIZの影響下にある。
これはウィザードリィが「もっとも普通のRPG」であるともいえる、と、私は思う。
しかし、いつのまにか「ウィザードリィはマニア向け」というイメージが定着していった。
こいつは考え直すべきだ。たしかに初期アップル版を持っていたのはマニア(いろんな意味で)ばっかりだったかもしれないが、ファミコン版から入った人はドラクエやFFくらいしかやったことの無い普通の人も多かったはずだ。
もちろんWIZ独自の魅力はいっぱいある。だけどそれだってマニアしか理解できないものじゃない。そんでアイテム集めだけではない。
だいいち、マニアしかわからないものが傑作扱いされるわけがない。
さもなければ、「マニア」とやらには思いのほか簡単になれるのだろうよ(フン!)。
何が言いたいのかというと、この外伝4はアイテムやモンスター、演出その他に「WIZマニアがWIZマニアのために作った作品ですぜ(ニヤリ)」といったもの感じるのだ。一般ユーザーを「FFやってる劣等人種」扱いして相手にもしないような。これじゃ永遠に「一般人」はプレイしないだろう。
(それとも外伝4ってWIZマニアの作った同人ゲームみたいなもんだったのか?それなら一般人は邪魔かも)
で、ここからが重要なのだが、その後の日本製のウィザードリィにも似た様なものを感じている。
エンパイア、ディンギル、クロニクル、オルタナティブ(BUSIN)、サマナーとかいろいろ発売されたのだが、そのうちのいくつかは評判を聞くと何かヘンなのだ(全作品じゃないが)。バグとかゲームバランスとか、あとシナリオも。
というか、「日本製のWizardryならクソゲー」とまで思っていた自分に気付いたことは計り知れない衝撃だった。新作が出ても評判を見ただけで「ああ、クソゲーなんだ」と思って済ませてしまっていたのだ。それは「FF=クソゲー」の決め付けと同次元の話。やたらひどい評判を聞くのも事実だが。
中には操作性とかが悪くなさそうなので(ムボウにも)手を出してみたのもあるが、それだってさんざん悪評を聞いていたFF8に興味本位で手を出したのと同レベルの話だ。
とにかく、「問題を抱えつつも、まるで進化しないゲームシステム」「戦闘シーンが適当」「アイテム集めとレベル上げしかやることない」「一部の偏ったマニア(WIZオタク)向けっぽい内容」「タイトルで売れてる感あり」では、一般にクソゲー扱いされても文句は言えない、と言うより、これこそがクソゲーではないのか?私は本作よりも単調なゲームを他に知らない。(あくまで外伝4の話だけど)
このゲームを肯定すると、逆に昔のWIZを否定しなければならないような気さえする。
×_×
今や21世紀。「ウィザードリィ」は、20年も前の作品なのに傑作として語り継がれる。
だけど、「最近の(日本製)ウィザードリィっておもしろいのかよ?」とか聞きたくなってしまう。
ええと、GBC版はおもろかったよ。たぶん…