< 第5章 >



不気味な輝きを放つ地下室に入る山村と秋子。和夫は落ちている土偶を拾って、二人についていった。

エミは焼却炉にいる間宮夫人の亡霊に囚われているらしい。山村はエミを助けに向かった。
山村は地下室の鉄格子を強引に開けた。奥の鉄の扉を開けようとした途端、後ろの鉄格子がガシャーンと閉まった。

すさまじい轟音が鳴り響く中、和夫・秋子はライトを点ける準備をした。鉄の扉が開くと、闇の中から恐ろしいうめき声が聞こえた。近づくと山村は強い風に吹き飛ばされた。

「あの向こうが焼却炉だ!」

秋子は闇めがけてライトの灯りを照らした。だが一向に効き目がない。うめき声がはっきりしてくると、山村は声の主を説得した。和夫もエミを返すように訴える。うめき声に秋子は両耳をふさいだ。衝撃波を放ち、ライトは壊された。山村はエミを救うために自らの心の力を用い、うめき声のする闇に飛び込んでいった。衝撃波と青く光る火花、まばゆい光…。そして闇が静けさを取り戻した時、エミを抱えた山村が戻ってきた。

しかし、その山村の身体は影に蝕まれていた。体が少しずつ溶けつつある。

山村は影が来るから早く逃げろと叫んだ。和夫と秋子はエミの目を覚まさせた。山村の身体は徐々に崩れていき、和夫らは少しずつ退いていった。

山村の身体は跡形もなく崩れ去った。
そして絶叫と共に影が迫り始めた!


和夫は影が来る前に屋敷を出ようと出口に向かって走っていった。夜の明かりが見えた。出口だ。満月が見える。急いで出口の扉を開けようとした。しかしびくともしない。秋子は明るい所にエミを避難させ、和夫と秋子は必死で扉を叩き壊そうとした。

やがて満月に黒い雲がさしかかりつつあった。扉は微動だにしない。そして満月が黒い雲に覆われはじめたと同時にエミにも影が迫ってきた。

秋子は影からエミを守る。和夫は扉を何とか蹴破り、秋子も息を撫で下ろした。

だが、和夫が振り向くと、エミは再び影に引き戻されていた…。

和夫と秋子は屋敷を脱出したが、エミを救えなかった事に悔しがった。
和夫はエミを連れ戻す決心をし、再び屋敷に乗り込んだ。

闇に飛び込んだ和夫を目の当たりにし、秋子は泣き崩れた。


− 続く −
 

<ポイント>


和夫「僕が駄目でも逃げるんだぞ!もし、無事に戻れたら、その時は…」