[ ドラゴンクエスト7 ]
あのDQ7をたった1日で裏ボスまで全部クリア(第三期熟練賞受賞作品)
【プレイ条件】
・ドラゴンクエスト7を1日で全てクリアする
(「全て」というのは、まず通常のクリアをし、クリア後に初めて戦える裏ボスである「神様」や、神様の19ターン以内撃破に3回成功すると初めて戦える裏ボス「精霊」を倒す所まで含みます。)

【達成者のコメント】
 「やりこみと言えば低レベルクリアと制限つきクリア」という固定観念を打ち破る
やりこみです。クリアまでに100時間かかるとも世界一長いとも言われるあの「ドラ
ゴンクエスト7」を1日以内でクリアしました。記録は0時0分に開始し、初回クリア
が17時48分・裏ボス全撃破達成が21時59分です。
 なお、プレイスタイルはいわゆる「リアルタイムアタック(略称RTA)」形式です
ので、もちろん1日以内という枠にとどまらず「出来るだけ早くクリアする」という
のがプレイ目的になっています。

 1日以内でクリアするには、とにかくレベル上げを一切行わずに突っ走る必要があ
りますので、そのため自然と低レベルクリア的要素をも含んでくるというのが本作品
の特徴です。しかもやり直しの効かないRTA方式ですから、全滅すれば当然それだけ
時間の無駄になります。よって低レベルながら全ての戦いにおいて100%に近い勝率を
見込める戦術が必要になり、同時に短時間で最低限の戦闘力を確保する戦略も必要と
なります。
 また、当日24時間のうちに起こるいかなるアクシデントにも柔軟に対処するために
は、プレイヤーの豊富な知識と瞬時の決断力も必要になってきます。あ、フラグを調
べるとかコマンド入力速度を極めるとかいうのはもはや自明ですので省略します。

 今回の計画に際しては2ヶ月以上にわたる調査プレイが行われましたが、他にも過
去に自分でプレイしたタイムアタックや無職低レベルクリアといった12回ものプレイ
経験が無ければ今回のやりこみは達成できなかったでしょう。プレイそのものは1日
でしたが、やりこみの計画には1年以上の歳月を費やしていると言うことができま
す。それだけに、ここでは全てを語ることはできません。詳しくはレポートの方をご
覧ください。
(おてうさんのコメントより)


●審査員からのコメント

DQ7の「リアルタイムアタック」の集大成とも言える作品です。
達成者のおてうさんは「タイムアタック」でも13時間台という世界記録を
保持していますが、「リアルタイムアタック」では全く別のアプローチが必要となります。

まず、雑魚戦では確実に逃げ、ボス戦では確実に勝利しなくてはなりません。
「タイムアタック」と違い、「死んだらリセット」「試行回数を増やして突破」という
力技が通用しないのです。特に、キーファ離脱後ダーマ解放までの戦闘は非常に
厳しいのですが、少しでも勝率を高めるために装備や戦術を徹底的に吟味しています。
その後もグラコス、ヘルクラウダー、オルゴ・デミーラといった強力なボス戦を、
前回挑戦時の失敗を踏まえ、豊富なプレイ経験を生かしてしのぎ切っています。

さらに、頻繁に発生するフリーズへの対策や、食事やトイレ等の計画も
必要になります。他のDQシリーズの「リアルタイムアタック」とは一線を画す、
鉄人レースとでも言うべき様相を呈してきます。
こうした難関を乗り越え、初回クリア時17時間台、4精霊撃破時21時間台という
常軌を逸したタイムを叩き出したことを高く評価します。

また、このやり込みがネット上で実況中継された点もポイントでしょう。
延べ5000人が見守る中で見事に有言実行してのけたという点が、
やり込み界への新たな風の到来を予感させます。

惜しむらくは総合的な難易度の高さゆえに、同様の挑戦をやろうとする人が
現時点では全くいませんし、今後もなかなか現れそうにないということでしょう。
裏を返せば今回の記録がそれだけ凄まじいということですが、
やり込み界の発展のために、この記録に挑む勇者が現れることを期待します。
(2003/3/17 dqmaniac)


他のやり込みと比較した際にこのやり込みにおいて最も特徴的なのは、このやり込みがいわゆるアイデア勝負のものではない、ということでしょう。
このリアルタイムアタックというやり込みにおいて必要とされているのはアイデアよりも、むしろプレイヤーの技量と経験、さらには耐久力や集中力といったより物理的な意味における肉体的・精神的能力であり、それは本レポートの第3章を読めばよく分かります。
例えば低レベル系の攻略の場合には立ちはだかる強力なボスをどのように倒すのかが主眼に置かれるわけで、当然そこにおける戦術がその攻略のポイントとなるわけですが、この攻略においてポイントとなるのは、ゲームの全体をいかにしてミスと不運に見舞われずにクリアするのかということです。
そしてそこで必要なのはピンポイントの戦術ではなく(無論それも当然の前提として必要になるわけですが)、それらの総体を確実に実行するだけの肉体的・精神的能力ということになるわけです。
その意味でこのリアルタイムアタックというやり込みは理論を構築することではなく、達成することに意義があるやり込みであると言うことができるでしょう。この点、いわゆるノーセーブ系のやり込みを強く思い起こさせます。
そしてその中で今回初回クリア17時間台という記録を成し遂げたことは高く評価されるべきことだと思います。
おてうさんが今回のやり込みをご自身の12回(!)に及ぶDQ7のプレイから得た知識と経験、技術の集大成と位置づけているのも納得です。

そしてこのリアルタイムアタックの特徴をよく表しているのがそのイベント性です。
この種のやり込みはしばしば学園祭の企画やネットでの実況などの形で行われ、たびたび好評を博しています。
それはこのやり込みが先に述べたように達成することに意義があるということ、すなわちそれが成功するかどうかは完了するまで本人にも分からないという緊張感や臨場感を、プレイヤーだけではなく見ているものにも強く感じさせるからなのでしょう。
それは今回のやり込みを延べ5000人もの人が観戦していたという事実からも明らかだと思います。

しかし、逆に言えばこのことがこのやり込みの欠点となってしまっているとも言えます。
すなわち、このやり込みが実際に実時間17時間台という記録を達成したということにその主たる意義を有するとするなら、その事実と記述されたテキストとしてのこのレポートとの間には断絶が生じざるを得ないからです。
いわゆる「普通の」やり込みならどのボス戦でどのような戦術を採用したのか、そしてそれを行うためにゲームのプログラム内でどのような行動を入力したのかが分かればほぼ十分で、そのようなシステマティックな事実は記述されたテキストからも概ね伝わりますが、このやり込みのようにそのようなシステム的な知に還元できない要素を多く含むようなものの場合、レポートからその全貌を理解することは非常に困難になります。
また、緊張感や臨場感といった要素も、当日のプレイ記録や実況チャットのログからある程度は読み取れますが、やはりその時にプレイヤーや観戦者が感じていたようなそれには遠く及びません。テキストは緊張感や臨場感を反映することはできても、それを再現することはできないからです。
それゆえ、当日のプレイを現実であれネット上であれ目にしていなかったような人が、このレポートのみから今回の作品を理解するのは難しいと言わざるを得ません。
例えるなら、箱根駅伝のテレビ中継を全く見ず、次の日に全走者の区間記録及び監督・選手の事後コメントのみを見たとしても、やはり何か足りないと感じるようなものです。
全体として、このやり込みは実際に達成した記録が優れているがゆえに、かえってその事実とテキストとの間の距離が際立ってしまっているように感じられます。
リアルタイムアタックというやり込みが「実時間」の短さを競うという競技性の強いものであるがゆえにこのジレンマは避けられないものであると言えますが、リアルタイムアタックというやり込みのさらなる発展のためには、このジレンマを縮小するためのテキストの発展もまた必要であると思います。
(2003/3/17 MS-06)
おてうさん
→おてうさんによる解説
03/01/12 公開
■この作品の著作権はおてうさんにあります。無断転載は禁止です。

この作品の感想をお寄せください。
13時間台という「タイムアタック記録」を出すのに何千回のリセット、数百時間にもおよぶプレイ時間がかかるのに対し、今回の「リアルタイムアタック」ではわずか十数回のリセット(そのリセット時間中も時間をカウントする)を行ったのみで、そのタイムアタック記録と4時間程度の差の記録が出せたことを高く評価したいと思います。(標準クリア時間80〜100時間と比べた場合、その差は僅かなもの)
この、タイムアタック記録とリアルタイムアタック記録の差をつめるためには、タイムアタックに必要なギリギリの戦略性を必要としつつ、高勝率を求めるための戦略も必要となってきて、その分岐点でのせめぎあいが重要になってきます。その妥協点を知るためにはとにかく経験しかなく、おてうさんがこのゲームを12回目もプレイしているということは十分うなずけるものです。

次にレポートの内容についてふれたいと思うのですが、レポートを読んでみると、とにかく最速を目指すタイムアタックレポートと比べ、本攻略のレポートは攻略に穴、
というかあいまいさが残っているうえ(逆にそうしないと、本番の攻略ではつまることになるのですが)、戦略性、攻略性に特に目新しさを感じないので(タイムアタックの簡易Verといった感じを受ける)、攻略レポート自体の評価は低くならざるを得ないと思います。
結局のところ、やはりこういうやり込みはMS-06さんのコメントにもあるように、イベント的なものであり、同時性をもって体感しながら行うのがベストなのではないかと思います。
■03/03/27
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