エピローグ

月日は流れ、かつて死闘を繰り広げた3人は成長していった。

そして、十五年後。




ラヴァレンとレイシア、それにハインツは、ここラエンフルで再会をした。

ラヴァレンはラエンフル国王として。

レイシアはラエンフル王国王妃として。

そしてハインツはベルモードル騎士団長として、 儀式に出席している。

その儀式とは、協定を結ぶための儀式だった。





北の大国、ラエンフル。

南の首都とも呼ばれる、ベルモードル。



お互いに強大な力を持ちすぎ、疎遠となっていたこの国が、

協定を結ぶことで、人間同士…度々おこっていた北と南の争いも永久に無くなるだろう。



両国は、実に千年ぶりとも言われる、協定を結んだのだった。



若き王、ラヴァレンが城のバルコニーから姿を現すと、

ラエンフルの観衆が拍手をした。



「私たちがこの国を担っていくなんて、あの頃は思ってもいなかった…

ねぇ?あなた」

純白のドレスに身を包んだレイシアが尋ねる。



「そうだな。

これでやっと、この世界に争いは無くなった…」

ラヴァレンも安堵のため息をつく。



「ありがとう、ラヴァレン…いや、ラエンフル国陛下だったか。

君のおかげで国王も私の提案を聞き入れてくれたようだ。」

ハインツが話しかけてきた。

今では立派な口ひげを蓄えている。



「そんなかしこまらなくても良いのに、ハインツ?」

「まるで王様とは思えないような軽はずみな口調ですわね、貴方。

まるで前王キカルス様のよう。」

レイシアがくぎを差した。





月日がたち、身分に違いが出てきても、3人は変わらない。

そう、あの時天界の平原で誓い合ったように…

いつまでたっても彼らは“仲間”なのだ。

ラヴァレンが心の中で、そっと(カーチェス…)と呟く。

(“邪悪”は全て、消え去ったよ……)





どこかからラエンフル国歌がわき上がり、広場の民衆全体の、 大合唱となった。



ハインツ、レイシア、そしてラヴァレンもその歌を口ずさんだ。

どこか遠くで、きっとカーチェスも口ずさんでいる…












かつてない長き平安が始まったのだ___