Vain(仮称)


ライオネル城。

アグリアス・オークスは新たにライオネル騎士団の一騎士となり、

厳しくも平穏な生活を送っていた。

ただ、彼女が一人になった時、

時折見せる寂しげな瞳を知るものは誰もいなかった。






「ふー」



漏れたため息。

ここはライオネル城の一室。

アグリアスはいつものように一日鍛練を終え、

部屋に戻っていた。




鏡を見ると写る、自分の顔。

その美しい金色の髪を見ると、

いつも考えてしまう。



ラムザ・ベオルブの事を。



そう、彼も美しい金色の髪をしていた。




(ラムザ…)


心の中で、その名を呼び、苦笑する。








不意に、今さっき考えていた像がアグリアスの目の前に現れる。

「アグリアスさん…」

それは紛れもない、ラムザの声だった。

金色の髪がこちらに優しく微笑んでいる。



懐旧と敬愛から、 彼女の頬に一筋の雫が伝わる。



「ラムザ、」と呼ぼうとしたその時、

そこには彼の姿は無かった。






それは、儚い夢だったのかもしれない。






気がつくと、彼女は机に突っ伏していた。

その美しい顔には、涙の跡が光っている。




(ありがとう。)



それ以来、彼女はその寂しげな瞳を見せることはなくなった。



















あとがき。
FFTの(ラムザ)&アグリアス小説です.....
FFTの恋するアグリアス....を書きたかったのですが。
妙ですね、始めと終わりが特に。
ちなみにですが、”それは、儚い夢だったのかもしれない”
を入れたのには理由があります!
わかった人はBBSにて! ともにFFTについて語り合いましょう!