キミは憶えているか―
スコール・レオンハートを…

愛するもののために力の限り戦いぬいた男を…
正義のために青春の炎を燃やしつくしたあの勇姿を…

ファイナルファンタジー8。

ときたま思い出されて、
ときたま話題になる。
そんなゲーム。

今年も急にFF8のことを思い出した。
思えばもう9年以上も前のゲーム。しかし私がやったのは…いつだったか忘れた。かなり後だったことは確かだ。
とにかく、もはやこのゲームは前世紀のゲーム。20世紀の技術で作られているんだ。
当時優れていると言われたグラフィックも、現在の視点で見れば大したことはない、ない。
「グラフィックだけは良いゲーム」なんて評価は、今の時代ではもう意味がなくなってしまった。

いまやただの個人日記ブログの付随ページでしかないこのサイトだが、今回は久しぶりに本気でゲームレビューというものを書いてみる。
(実は2007年8月にブログのほうで書いた文章のまとめなおしのつもりだったが、考えてるうちにほぼ全部書き直しとなった)

0.WELCOME TO ULTIMANIA!!

なんでも「FINAL FANTASY VIII ULTIMANIA」の売り上げは220万部超という大ベストセラーとなったらしい。
これはどういことかというと、この死ぬほど売れたゲームを買った人間の半数以上がアルティマニアも買ってた計算となる。

冒頭にはベントスタッフ代表の山下章さんの文章があるので一部抜粋

「もしかしたらあなたは、エンディングを見ただけで満足して、そのソフトを棚の奥にしまいこもうとはしていないだろうか。」

だからアルティマニアはクリアにとどまらず、「遊びつくす」ことを目的とした分厚い攻略本となった。

さて、しかしである、「アルティマニアを買ったけど結局クリアしなかった」という話も結構聞く。
それがゲーム内容に問題があったからなのか、それとも大作RPGなんて所詮そんなものなのか、どっちかは知らない。

1.このレビューの前提

・「8」はクソゲーである。

ひとくちで言うならこれだけである。今更すぎるだろう。

そもそもこのゲームは私がプレイしないでも369万本も売れているらしいので、多くのプレイヤーがいるわけで、レビューもわんさかあるわけだ。
だから、こうして後発の私が書くにあたって、私自身がFF8をプレイするきっかけとなった有名なレビューを上げないわけにはいかない。
FFという名のバカゲー
名著「バカゲー専科2」にも載ったレビューの元版。発売間もない時期に書かれている。
繰り返すが有名なレビューである。既に読んだことのある人も多いだろう。
このレビューのために、FF8スレのテンプレに「ディスク3でリノアを宇宙に流して終わったんですが残ったCD1枚は何に使うんですか?」という一文が書かれていたくらいには有名。(※今は書かれていません)
このレビューは「バカゲー」として「物笑いのネタ」的にFF8を取り上げているが、極めて批判的な内容であることは読めばお分かりいただけるとともに、ジャンクションシステムやシナリオ、演出面での批判はかなりの部分で的確であるとも思う。
(もちろん、このレビューにアラがないとは言わない。FF2のパーティアタックは推奨すべきではないとか)

FF8は、発売当初から、おおむね評判が悪いのである。
これは製作者も後年のインタビューで断片的に認めている部分もある。

ところが、一方でFF8を持ち上げる人もいる。
たとえばここ。今だからこそFF8
こちらも有名サイト。FF8の考察といえばここ。
このページは2003年開始と、かなり後発のものであるため、各種批判に対する反論的なものも多く、FF8再評価の動きとしても取り上げられることが多い。
軽く流し読みしてみるだけでも、こんなにいろんな要素が組み込まれていたのか、視点を変えるとこんなに深いのかと驚く人もいるのではないだろうか。
なのだが。
実は個人的にはこのページは力作だと思うものの、あまり好きでない。
煩雑さの目立つシステム周りを褒めすぎている、とか、批判に対する反論が目立ちすぎる、とか。

2.私の立場

一言で言うなら、FF8はクソゲーである。
だが、一言で言うのがダメなのである
FF8とはあまりにも長く巨大な物語であり、ありとあらゆるものが存在している。
簡単に言えば、面白くない部分と、面白い部分の両方があるというだけなのだ。それは面白くも無くつまらなくもない平凡なゲームという意味ではない。

あなたの好きなゲームを何か思い起こして欲しい。いや、ゲームじゃなくてもいい、映画やアニメとかなんでもいい。
全部100パーセント面白かったということがあるだろうか?
もしかして、つまらない部分や、客観的に見るとおかしい部分とかもあって、でもそれはそれで楽しんでいないだろうか。
私はFF8の全てが傑作だとは口が裂けても言えないので、基本的にはお勧めはできないと思っている。
が、私はFF8のことが嫌いじゃない。むしろ好きだと思う。部分的に傑作だと思っているし、ダメな部分もそれはそれで好きだ。
このゲームはいろんな部分の異質さが複合的に重なって、ときどき妙にツボにはまる人がいるようになっているのだ。
そんな人たちがこのゲームを知らないままなのは不幸かなーと思うのである。

が、である。
これは私が自信を持って言えるこのゲームの本質なのだが、
FF8は、趣味の合わない人には普通につまらないだけのゲームだと思う。
だから奥深いところまで見ることを前提に再評価してはダメだと思うのだ。

私は、自分で納得のいくFF8観を考えることにした。
というわけで長い前置きだったがやっとレビューに入る。

3.登場人物たち

このゲームは簡単には学園ものっぽい不思議なファンタジー世界を舞台とした、スコール・レオンハート(17)の恋愛ものという位置付けになる。
主人公はひたすらスコールのみ。スコールを中心にこの世界は廻っていく。
まずはそんなスコールと、主な仲間たちを紹介しよう。

スコール・レオンハート:
主人公。
老けた顔の17歳。17歳に見えないけど17歳。17歳とXXXヶ月とかいうことではなく、本当に17歳。
この設定は超重要なので覚えておきたい。
どういうことかというと、これは17歳、つまり高校2年くらいの主人公の少年が悩む物語なのである。これは他のキャラクターもおおむね同じ。
彼らの行動や言動が多少愚かであったり、子供じみていてもそれは自然なのである。
スコールは、基本的に頭は良い、優等生という意味で。
戦士としての素質も優れているので、ガンブレードという奇怪な武器を使いこなすことができる。
ただし、性格面には若干難がある。正直に言って、ちょっと嫌なやつである。
そもそも「スコール」とは熱帯地方のにわか雨のこと。彼はぱっと見は無口でクールなようでいて、実は激しく、しかも不安定な男なのだ。
何より他人と関わるのが面倒くさいので嫌だと思っている。理屈っぽくて、いつも頭の中では自分がどのように行動するべきか、どうすればいいか、些細なことで悩んでいるが、最終的に口には出さないで、一言「悪かったな」と謝るだけ。
周囲からも信頼はされつつも、扱いにくいやつだと思われているし、これはスコール自身もかなり自覚している。性格を直そうとしている部分と、直すのが面倒と言う部分でいつも葛藤している。
たまに悩みが限界突破すると「過去形にされるのはごめんだからな!」とキレたり、「気にするな、わけのわからないことが増えただけだ」と動揺を隠しきれなかったりする。
基本的に仕事と割り切ってSeeDの任務に忠実に行動しているようでいて、一方で悪人と言うわけではないので、人助けを(渋々だが)行う。
なんというか、凡人なのである。特別な感性を持っていたり極端に切れ者だったりはしない。冷静さと激しさを併せ持っているが、ツンデレというわけでもない。
ケバいビジュアルとあいまって、等身大の人物でしかないスコールという男は、あんまり格好よくないのだ。
エンディングで一人取り残されてしまうところがとてもこいつらしいと思う。格好悪いことが主人公としてダメなわけではない。
ゲーム的な性能で言うなら、ガンブレードの特性で命中率が常時255%のうえ(何故?)、強ダメージをボタン入力で自在に繰り出すことができる。特殊技「連続剣」も他キャラの軽く10倍は強い。
他キャラに比べて、能力面では実際に優秀な戦士に見えるようになってるのである。

リノア・ハーティリー:
大変嫌われているこのゲームのヒロイン。17歳。学生ではない。
育ちのいい金持ちのお嬢さんだが、レジスタンス活動をやってる。ただしその活動は無計画で行き当たりばったり。これもある程度自覚はしている。
それでも何かしなくては、という思いは強く、やっぱり行動する。
これは悩みまくって行動が遅れがちなスコールと対称的。だからスコールを励ましたり叱ったりするのは彼女の役目となる。
リノアは(少なくとも最初は)何か特別な能力やとりえがあるわけではないけれど、性格は前向きな女。結果的に周りを引っ掻き回すことも多いのだけど。
また、みんな似たような顔なのでわかりにくいが、どうもキャラ付けに大きく関与したとされる野村さん的にはリノアはそんなに美人ではないような発言をしてたようだ。
少なくとも、「誰もが振り向くいい女」という感じではない。(もちろんスコールも最初は振り向かない)
性能的には実はステータスだけ見ると最強(魔力や精神だけでなく、力もスコールよりふた周りほど高い)。
全然強さを感じさせないのは、ジャンクションシステムの前に個人の細かい能力差など無意味だからだ。

アーヴァイン・キニアス:
飄々とした狙撃手。ひとりだけ「覚えている」ため、なりゆきで仲間となって、パーティのまとめ役として奔走することになる。
「覚えている」ことを最初に告げないのは、彼の性格によるところが大きいだろうか。
自信たっぷりで登場した割にディスク1のラストで情けないシーンを披露するが、これも「覚えている」ためであることは後でわかる。
ヘタレながらもちゃんと狙いは正確だったところが彼の立派なところといえよう。
軽薄な感じは演技なのか地なのかよくわからないが、たぶんスコールよりはモテる。

ゼル・ディン:
格闘バカ。
実は物知りだがその能力は2回しか発揮されない。全体的にあまり役に立たない

セルフィ・ティルミット:
萌え担当の関西人。
天然と言うか、変人で、面白そうなことには何でも手を出したがる。
ヌンチャクと称する謎の紐状武器を愛用している。キングダムハーツではナワトビになってて妙に納得した。

キスティス・トゥリープ:
このページを書いてる人間はトゥリープ先生のことが大嫌いである。
だって18歳だぜ。スコよりたかだか一年長く生きてるだけで、自分も判断ミスとか感情に流されたりとか全然優秀なSeeDって感じがしないのに、すっげー偉そう。
しかもスコールのことを狙ってる。教師のくせに教え子を誘惑しようとする。だがスコはそういうの全然興味ないので、すげー邪魔。
幼馴染の眼鏡女教師で目から光線を出し臭い息を吐きミサイルやガトリングも出すムチ使いと、マニアックな属性てんこもりのためか、ファンは結構多いようであるが…
後半はリノアとスコールをくっつけようと画策するシーンが目立つ。仕事しろ

サイファー・アルマシー:
この物語の犠牲者
スコールの唯一ライバルと呼べる人物で、ケンカしつつもお互いのことを認めている。ファッションセンスもお互い変だ。
(たぶん)リノアの元カレ。
変な正義感の持ち主で、「風紀委員」を名乗り、学園内で迷惑行動を率先的に行っている。
昔見た「魔女の騎士」という映画に憧れており、ガンブレードを使うことも魔女に従うのもその影響。つまり映画の人物になりきってしまうイタいところがあるようだ。のだが、この設定はアルティマニアを読まないとほとんど気付かないんじゃなかろうか…
おそらく彼も過去のことを(どのくらいかはわからないが)覚えている。だからイデアに従うまではよかったが、そのあとはなりゆきで敵対した挙句だんだん影が薄くなっていき、最終的には「ぎにゃぁぁぁぁ!」という迷言が一番強い印象を残すことになる。
なお、サイファーのガンブレードは普通の命中率。

イデア:
魔女。
変な服装は本人のセンスのようだ。

ラグナ・レウァール:
突然スコールの夢の中に現れる人物。おおざっぱな正義漢。
終盤に彼と対面したスコールの感想は、(なんだよこの国は…)である。プレイヤーもたぶん同じことを思う。
スコールとの詳しい関係はファンの間ではほとんど常識として知れ渡っているが、公式に明示されたことはない
↑と思ったら、2008年に発売された「ファイナルファンタジー 20thアニバーサリー アルティマニア File1:キャラクター編」には明記されてた。

こんな感じの人たちが、奇妙な世界を舞台に冒険活劇を繰り広げるゲームである。
なお他のキャラはともかく、アクの強い男であるスコールに多少なりとも共感できない人は、このゲームは合わないと思う。
この物語は、「面倒な性格の少年がひたすら自分探しをする話」なのだ。

4.ゲームシステム、というか攻略

このゲームは、面倒くさい
文章だけで見たシナリオが賛否両論分かれるのはもちろん、ゲームとしての部分はどうかというと、これまた非常にわかりにくい。
謎のシステム・ジャンクションのため、とにかく「魔法」と言う名前のアイテムがパーティの能力に直接反映されるんで、強い魔法をいかに効率的に入手するか、そもそもどれが強い魔法なのか、長期的視野でプレイすることが求められる。

たとえば、
・店で買えるテントからケアルガが作れる。
これは
・ケアルガは、強力な回復魔法であるとともに、HPや体力の上昇量がとても大きい有用な魔法である。
のでとても効果的。有用度で言えば、
・ケアルガは、ラストまで使えるほど有用。即100個入手を推奨。
だが、
・GFセイレーンを成長させて、「生命魔法精製」のアビリティを覚える必要がある。
また、テントを買うお金も無限ではない(※…後述)
ついでに、
・セイレーンは序盤のボスからドローできる。忘れると二度と手に入らない。

これだけのことを、予備知識なしで判断できるだろうか?

他にも有用な魔法はあるぞ。
たとえばメルトン。
・メルトンは超強い。どんな敵の防御力もゼロにしてしまう
・体力上昇も高いので100個推奨。
・入手はレベル30以上(※これも後述)のゲイラというモンスターからドローするか、ゲイラから取れる「謎の液体」から精製するのが比較的ラク。
まではいい。
・謎の液体から精製するにはGFディアボロスを成長させる。
・ディアボロスは序盤にもらえるアイテムを使うと戦いになり、勝てば手に入る。
・ディアボロスを倒すにはコツがいる(※これまた後述)
あるいは普通に、
・パーティの平均レベルを30以上にしてゲイラに挑んで、ドロー戦をしかける。
あるいは、
・パーティが低レベルなら、ゲイラのレベルを「レベルアップ」というコマンドで上げて、メルトンをドローできるようにする。
・「レベルアップ」はGFトンベリが持ってる。
・トンベリの入手は面倒くさいので以下略。
結局普通にゲイラと遭遇して普通に手に入れるプレイヤーもいるし、なかなか手に入らないプレイヤーも出てくる。
そして敵のレベルを上げるコマンドが普通に存在しているこのゲームが恐ろしい。
他にも
・ゲイラのカードを変化させると謎の液体は序盤でも手に入る。
という変則パターンもあり、知ってるプレイヤーはむしろ王道パターンとしてこれを使う。カード変化はケツアルクウァトルのアビリティ。

こうしたことは試行錯誤で知るというより、アルティマニアや攻略サイトを熟読しながら、ある程度長期的視野で考える必要がある。
流し読みではダメである。本当に熟読する必要があるのだ。
確かにメルトンなしでもクリアはできる。だがメルトンがあるのと無いのではダメージが全然違う。
難易度というより、プレイにおける快適度がダンチなのである。
他にもデスやらトリプルやらアルテマやらアレイズやら、もっと入手しにくくてかつ有用な魔法が多数存在。
一方でファイアやケアルなどの弱い魔法も、序盤戦を乗り切るには重要な存在。どこまで収集するかはプレイヤーしだいだ。
集める過程は面倒くさく、しかし集めたほうが快適。
…ジレンマだ。

※お金
このゲームは敵がお金を落とさないで、歩いていると給料が勝手に振り込まれるという不思議なシステムを採用している。どんな緊迫したシーンでも振り込まれるので緊張感を台無しにする効果がある
ただし真面目に戦わないとだんだん給料が下がっていき、資金不足に陥るようになっている…と見せかけて、実は他にお金を稼ぐ方法もあるし、それ以前にお金を使う機会がほとんどないので心配しないでいい。
テント・コテージを回復薬精製でメガポーションにして売りさばいて利益を得る死ぬほど手軽な無限稼ぎは有名。

※レベル
このゲームにおける謎の概念。味方の平均レベルが上がると敵のレベルも上がっていくので、結果的にどっちも強くなって、お互いの戦力差は開かない。
基本的にステータスはレベルによる変動よりもジャンクションによる変動のほうが遥かに大きいし。
どっちかというと、レベルの変化によって敵からドローできる魔法と敵の所持アイテムが変化することが重要。
先に挙げたFF8スレのテンプレにも、
>Q.じゃあレベルの意味ってなんですか?
>A.山登りと一緒です。複数あるコースの中から好きなコースをお選びください。

とある。全くその通り。
パーティのレベルを上げるかどうかは、プレイヤーの戦略次第なのだ。ふざけるな馬鹿野郎

※ディアボロス
「ぶんどる」「エンカウントなし」「時空魔法精製」「ST魔法精製」など、異常に有用なアビリティを持つGF。
序盤にもらえる「魔法のランプ」というアイテムを使うといきなり戦闘になる。「危険」「セーブしてから使え」と警告つきのうえ、普通に戦ってもまず勝てないので、「こいつはきっと強くなってから倒す敵なんだろう」と思って終盤まで倒さなかったプレイヤーもいた模様。
しかしレベルを上げても別に有利にならないのは既に述べたとおり。
ディアボロスは強くなってから倒すのではなく、「倒し方」があるのだ。
具体的にはこいつ自身からドローできるグラビデをかけると大ダメージになるうえ、なぜかケアルガで回復してきてくれる。
魔力を高めにしてドロー成功率を高めておけば入手直後でも十分勝てるのである。
釈然としないものを感じつつ早期入手を推奨。

あー長い、長い長いめんどくさい。たぶん煩雑さではシリーズ最強。ここで挙げたのはほんの一例でしかない。
このゲームには無数の攻略パターンが存在し、ちょっとした工夫で一気に難易度が激変する。
どれだけテクニックが存在して、どこまでが推奨でどこまでが推奨じゃないのか、
ラクがしたいのか早くクリアしたいのか強さを求めてるのか、どうすりゃいいんだよ俺は

5.炎のSeeD、スコール・レオンハート

FF8は、学園もので、ラブストーリーである。
ただし、一般的な学園モノではない。

というかもうね、大陸学園。キーワードはこれだよこれ。
…あんた、「炎の転校生」を読んだことがあるだろうか。無いなら読め。炎の漫画家・島本和彦先生の初期の代表作だ。
しかし読んだことの無い人の為に少しは説明をすると、かつて週刊少年サンデーで連載されていた、熱血学園バトルものにギャグを組み込んだマンガ。
滝沢昇という勢いまかせの少年が、転校先で起きるいろんな騒動をパワーと勢いと努力と屁理屈で乗り切っていくという話。アクションとギャグと感動を切り離し不可能な状態で叩き込んでくる恐るべき傑作です。本当に感動できるんだぞ!
このマンガは冷静に見なくても、まともな学園ものと比較して異常な描写が目立ち、第1話ではいきなり校門に地雷が仕掛けられている。その後行く学校では校庭にリングが設置されていてボクシングの試合が行われている。
大陸学園は中盤で登場した、「裏の教育委員会」の建造した"歩く学園"。校舎ごと世界中を移動しながら進路上にある学校を破壊し、優秀な生徒を集めていくという無茶苦茶な設定の学校だ。
学校の校舎がまるごと移動するのだ。こんな恐ろしい設定、「FF8」と「炎の転校生」以外で見たことない。
だって、ほら、あり得ないだろうそれは
学園が動く!しかも学園同士ぶつかりあって、生徒も総動員して最終決戦!!
こんな異常なシチュエーション、炎転とFF8以外で大真面目に描かれたことがあっただろうか?

炎の転校生はまごう事なき学園モノである。
つまりFF8も学園モノである。

私は考えた。FF8は、もしかして勢いにあふれた物語ではないのか。
もうSeeDを育てるバラムガーデンじたいが弱肉学園みたいなもんだよな。
FF8は学園ラブストーリー、ただし少年漫画の。

そう考えると、数多くのご都合主義的展開も「アリだ」、どころか「必然だ」と思えるようになってきた。
もう全部ネタバレしてしまうぞ。

ミサイルで狙われる学園!
学園を二分する大抗争!
動き出す学園!
街を踏み潰そうとする学園!
学園を裏から支配する存在!見た目はほとんど宇宙人!
突然明かされる主人公たちの衝撃の過去!
同じく動く学園との直接戦闘!全生徒一丸となって突撃!
原因不明で倒れるヒロイン!
ヒロインを担いで、たった一人で歩いていく主人公!
いきなり超未来都市!
宇宙編に突入!
当然のように宇宙ステーション爆発!
謎の宇宙船登場!しかもエイリアンが巣食っていた!
そしてついに姿を現す、最後にして最強の魔女アルティミシアとは一体!?

まとめると
「学園のヒーローが最後は宇宙的英雄となって最終決戦に挑む」
迷走する週刊少年漫画のような展開じゃないか。
学園モノなら、最後は宇宙だよな。当然だ

FF8は緻密な設定がわんさか存在しており、チュートリアルの隅っこの隅っこにあるヘルプなんかを熟読すると重要な設定がサラッと書かれてて大変驚かされる。
確かに、それらはスコールたちの数奇な運命の裏づけとして重要なものでもある。
だけど本当に大切なのはそこじゃねえ、その時々を楽しむことじゃないのか。
裏設定を気にしないでもこの物語は楽しめる。息つかせぬ超展開は、一本の作品として許容されるべきだ。
…ごめん、嘘ついた。GFの副作用で記憶喪失って設定は勘弁な。それ説得力がないから。
長期連載を続けるとどっかで破綻した設定が出てくるのもよくあることなのだが、この設定はほとんど物語の元凶のように語られてるもんなァ

6.リノアのことを好きにならなくていい

もちろん、おおまかなストーリーを肯定できても、結局はメインの登場人物が好きになれなければ普通につまらん可能性は高い。
特に象徴的に語られるのがリノア。
この女、序盤から守る対象として物語の中心に居座るが、まったくいい女ではない。頭脳は並、容姿も(どうやら)並、性格もちょっと変。

リノアとの初遭遇は唐突に始まるダンスパーティ。このシーンで「人差し指をおったてるリノア」の写真はこの物語の象徴のようにいろんなところで目にした。
これがリノアが嫌われる最大の原因だと思うのだが、このシーンは「スコールとリノアが運命的な出会いを果たした」シーンではない
この時点ではお互い名前も知らないような間柄で(ただしリノアは、スコールがSeeDなのでコネをつくろうとして接近してきている)、
「好きになーる、好きになーる」冗談を言われても好きになるわけはないのである。当たり前だろう!
が、ダンスパーティの唐突さと相まって、やたら象徴的に扱われるシーンであり、もしかしたら初見のプレイヤーに「この女を好きにならなきゃいかんのか…」と思い切りマイナス方面の印象を植えつけてしまったのではないかと思う。

スコールとリノアの関係は、むしろこの後に行動を共にし始めてから、「基本は後ろ向きなスコールを前向きなリノアがつっついていく」を繰り返すうちになんとなく進展していくことになる。
このふたりがくっつく理由とは、単にフィーリングが合うからだった、というのがこのページの作者の解釈である。

「プレイヤーが」リノアを好きになる必要は必ずしもない
ただし、これが重要なのだが「スコールが」リノアを好きになっていくことに関しては阻止不可能である
これはあくまでスコールの物語だからだ。スコールは、プレイヤーではない
スコールという、くだらないことで悩む鬱陶しい、しかも自己主張も強くてときどきプレイヤーの意思を越えて行動する男が、結果的に恋愛して、結果的に世界を救いに向かう物語なので、
スコールになりきるのではなく、スコール・レオンハートという人物・現象を観測して、共感したりツッコミを入れたりしていけば良いと思うのだ。
ということで、「リノアを好きになる」必要はないが、
「リノアを好きになるスコール」のことは多少なりとも好きにならないとダメかもしれない。
このゲームのシナリオは好みが分かれて当然ということだ。

7.魔女とはいったい…うごごご!

さて物語も終盤になると、魔女アルティミシアという真の敵が現れる。
このアルティミシアだが、全く目的がわからない
時間圧縮?とかいうのを起こして世界をどうにかしようとしている?
その言動は断片的で支離滅裂で、かつ異常なまでの憎しみにあふれている。
「おまえらの存在など時間圧縮のアルゴリズムの中に溶けこんでしまうがいい!!
激しい痛みとともに思考が分断され記憶も思い出も極限にまでうすめられるのだ」

よくわからんが敵意だけはビンビン伝わってきたぞ。
アルティミシア自身がどうみても悪人にしか見えないデザインをしていることもあり、「こいつは敵だ」という異様なまでの迫力を見せつけてくれる。

このアルティミシアはまともに正体が説明されないため、この存在についての考察は非常に多い。
しかし少年漫画的に見るなら「広げた風呂敷を畳みきれなかった」ものと解釈しても特に問題はないでしょう。
「最終回でコケるのが!!名作の条件なんだよ!!!」

アルティミシアの正体は、誰でもいい。

8.これからFF8をやろうという人と、やりたくない人へ

「このゲームは、遊べたものではないのでやってはいけません!」

クソゲーなんだよこのゲームは。どう言い訳しようとクソゲーはクソゲーだ。
もちろんクソゲーとは、クソなゲー、すなわちウンコなゲームのことだ。

・死ぬほど判りにくいジャンクション等の戦闘システム
・リアル系の絵柄とマンガっぽいシナリオのギャップ
・アクが強くて好みの分かれる主役陣のキャラクター

もちろん、世の中にはもっともっとつまらないゲームが存在することは知っている。
驚愕のバグ、稚拙なシナリオ、最低の演出。FF8よりももっともっと面白くないゲームはきっとある。
FF8は、クソゲー、あるいはせめて呼び方を繕ってバカゲーとして評価した場合に、飛びぬけた駄作という解釈はできないと思う。
だけどこんなゲームを369万本売ってしまっていいのかというと、ダメだろうやっぱり
こんなゲームを作ったことで、会社や、ゲームそのものに対して不信感を持ってしまったプレイヤーは、関係者たちは、どうすればいいというのだ。

私もこのゲームを定価で買っていたら、こんな文章は書いてなかったかもしれない。

でも、だから、この文章を読んでFF8に興味を持ったり、あるいは「もう一度やってみようかなあ…」とチラっとでも思ったら、
今すぐやってくれ、とは言わない。少なくとも俺は言えない。クリアまでにン十時間はかかるわけだし。
ただ、このゲームに対して複雑な思いを抱いているプレイヤーが結構いるということだけ知ってほしかった。

FF8レビュー、おわり

***

蛇足1.脇道シナリオをやってみよう

アルティマニアを見てもあまり大きく取り上げられていないのだが、シュミ族の村やドールのカードがらみのイベント、
ワールドマップ上にあるためほとんど気付かないオーベール湖の不思議な生物の話、
謎のカードゲーム軍団「CC団」イベントなど、脇道シナリオがひっじょーに面白い。なんでこういう「いい話」をメインのゲームにしなかったのかと思うほどだ。
しかもこれらのイベントはクリアしても使い道の微妙なアイテムが手に入るだけで、全然見返りは嬉しくないのだけど、ぜひ見てほしい。
ただしカードゲームは本気でやらないとキツイので、2週目以降にアルティマニアを眺めながらやるのを推奨。カードゲームじたいはあんまり面白くないしなー(ランダムハンドをすたれさせる作業に戻るんだ)

蛇足2.リノア=アルティミシア説について

一時Wikipediaにネタバレ防止窓までつけて記述されてたぐらいなので、やっぱり言及しないわけには行かないか。
Wikipediaのオタク辞書化は便利なとこもあるのだが困った傾向でもある。
ちなみに俺は他に「アリグモ」とか「ウミグモ」とか節足動物の記事が楽しくて好きである。ウミグモはともかくアリグモは結構身近に住んでるんだぜ。

で、以下蛇足なのだが長い。

というか「リノア=アルティミシア説」じたいは全然ネタバレではありません。そもそも「アルティミシア」って名前を出すことが既にネタバレだし
このレビューでも触れたとおり、ゲームを最後まで遊んでもアルティミシアが何なのかは全然わからん。本当にラストまで登場しない正体不明の謎の人である。

ただ、アルティミシアが何者なのか、魔女関連の設定とともに考察するための材料はいくつかあり、その結論のひとつとして「リノアがアルティミシアになった」という解釈があるということだ。
通称「リノアル」説

この説がいつごろから言われているのか、僕は知らない。
最も有名な考察はこのページ。
Kiss The Moon 〜 アルティミシア 〜
(申し訳ないが無断リンクさせていただきます。
このページの作者の方は、この上のフォルダで>既に考えが変わってしまっているものもありますがと書いてるので、この説を現在も支持しているのかは不明。
ただし、この考察中の「ノアがハインの師」という記述だけは明確な誤り。そういえば魔道士ハインはバックボーンの不明瞭な人物ではある。
あと、>リノアの顔にアルティミシアがダブって見えるという記述はちょっと微妙。完全に重なっているわけではないため)

そして、この説の考察サイトで一番詳しいのがこちら
Room of CoT
ここはものすごい力作。やや肯定寄りの見解を示すが、考察の量はとても多い。
(なおリノアとアルティミシアの顔を重ねてる画像はゲームから取り出したのではなく、検証用にこの作者の人が加工したもののようだ。注意)

ただこの説について私としてはなー
サイファーの拷問シーンがそんなに重要なシーンとは思えない、というのもあるが(あのシーンはスコールのお花畑構想が面白すぎる)、
FF8はリノアとスコールでハッピーエンドに突き進む物語だから、リノアルの設定が本当だとしたら完全に蛇足以外の何者でもないと思うんだけどなー
ついでにFF1のネタバレもしてしまうが、アルティミシアは「カオス」みたいな存在だと解釈されることも多い。
FF8の発端はアルティミシアであることはエンディングで明かされる。FF1の発端はカオスであり、ガーランドだった。時間圧縮とは何なのかも明確にはわからないのだが、時間ループネタを持ってきて、FF1を意識していなかったとは僕には思えない。
FF1の結果として悪人じゃないガーランドが生じるのと同じで、アルティミシアも物語を繰り返すうちに悪人じゃなくなったりするんではなかろうか。

確かにアルティミシアは「永遠の闇」とか「完全暗黒物質」みたいな曖昧なものではなくて、個を持った人間として描かれている感じはする。
逆に最終形態でしゃべり方が変わったアルティミシアは、個ではなくて純粋な「魔女の力」が出てきた存在、純粋な敵対存在という位置付けなんじゃあないかなと思う。
ファイナルファンタジーの必然として生じた悪が、「8」においては魔女でありアルティミシアだったんじゃないか。
だからエンディングでアルティミシアが即座に消滅しなかったのは、ループネタがやりたかっただけでなく、純粋な悪役となってしまったアルティミシアにも何らかの救いを与えたかったからという気はする。

「エンディングでアルティミシアの顔が必然性も無いのに出てくる」とか、「リノアがライオンみたいになる発言」とかはこの説を見るまであんまり気に留めていなかった。
個人的にはアルティミシアの顔が出てくることに関してはリノアルを肯定しても必然性が感じられないが…
リノアを、シナリオ面でかなり意識的に魔女と対比させているということは、この説の検証を読んでるとわかった。
ともかく、この説は興味深いことは事実。議論も肯定と否定でループしつづけているようである。

ではあるが、この説を持ち出してFF8を宣伝するのは勘弁して頂きたい。
むやみにこの説を広めようとする人たちは、この解釈を利用しなければこのクソゲーを肯定することができないのかと言いたい。

と、いつ発売するのかわからんディシディア・ファイナルファンタジー(PSP用のFF格闘ゲームだと)にアルティミシアが登場することが明らかになっている。
このことでリノアル問題に決着は、たぶんつかないと思うが、一応覚えておこう。

蛇足おわり。

2010年その後の追記1:
だいぶ前の話になるが、ディシディアファイナルファンタジーのアルティミシアはリノアの武器を装備できる。
これはネット上の説を認知して取り入れたんだと思うが、それが即仮説を肯定するということにならないのは上で挙げたサイトにも書いてあります。
それよりアルティミシアの性格が原作と違うのが気になった。皇帝とつるんで丁寧語…

追記2:
ちなみにこのページの作者は魔法精製よりもドローを愛好している。
面倒な作業? いや、これも案外楽しいもんだと思いますぜ。
精製習得のAP稼ぎとドローのどっちが簡単かも甲乙つけがたいと思うんだがなあ、やっぱり自分はヌルいのかなあ。

※追記3は役目を終えたので消しました。

追記4:
この文章は要所でFF8をボコボコに言ってますが、批判一辺倒の文章でないことはわかってほしかった。
というか、私はFF8がFFシリーズで2番目か3番目くらいに大好きなので、全体的にはかなり肯定的に書いているつもりです。
そのことがわかってもらえず、単純なクソゲーレビューだと思われてしまうのであれば、それは私の表現力の欠如によるもので、申し訳ない気持ちになります。

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