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組み合わせ実験
DQ3(3月4日)
例えば、DQ3というお馴染みの題材をモチーフにした物語でも、
掴み | DQを遊んでいて、疑問に思ったことはないだろうか? あの長旅で食料はどうしているのか、と。この物語は、DQ3ゲーム中では語られなかった、勇者たちの“食”を巡る物語である───(以上、尤もらしいナレーションで)。 |
ドラマ | それは、勇者にとっても、戦士にとっても、女僧侶にとっても、はじめての冒険だった。一行の中で冒険の経験があるのは老魔法使いのみ。長いブランクのせいで魔法はメラしか使えないが、旅の知識は豊富だった。「キャタピラーは見た目の不気味さとは裏腹にステーキ並みの美味じゃ!」。「じっちゃん、すげえ!」。魔法は卑怯だからイヤだと言ってた単細胞な戦士は、老魔法使いの食の知恵に感動し、親しみを込めて“じっちゃん”と呼びはじめた。DQ6ミレーユ似の女僧侶は、顔を青くしながらも、じっちゃんのモンスター料理を黙々と食べる。「バラモス討伐の覚悟を決めたとき、どんな困難でも乗り越えると決意しました」。彼女の気丈さに感動する勇者。だが、勇者は───男として育てられた彼女(FC版仕様)には───それでも耐えられなかった。 |
カタルシス | 「もう駄目かな……私にはキャタピラーとか大カエルは食べれそうもないよ……」。カザーブの村の中央にある池を覗き込みながら溜め息をつく勇者。そこに老魔法使いが姿を現した。「…ここまでそっくりだとおかしいのう」「そっくり?」「オルテガの小僧も、このカザーブで、今のお前さんとまったく同じように溜め息をついておったよ」「父さんが!?」「…駄目だ、俺には人面蝶が食えねえ。そう言って溜め息をついておった」。そして老魔法使いは、まだオルテガが十代の頃の秘話を語り出す───。 |
よく創作で大事なことは新鮮なアイディア云々と言われるけど、たとえ個々のアイディア自体が新鮮じゃなくても、組み合わせを工夫することで興味深い題材を作ることが可能なんじゃなかろうか。
とりあえず、その方向で行ってみよう。
ゲーム案
RPGシステム案〜トラウマシステム(4月1日)
久しぶりのRPG案。トラウマをゲーム面で利用しようというアイディア。
ステータス画面を見るとこんな感じ。
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1日目。冒険のはじまり。
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7日目。オーガに奇襲されてトラウマに。背後の気配が気になって奇襲回避率+1、重度ストレス+2。
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13日目。スラムでスリに盗まれかけた。金は取り戻したがトラウマになった。町内での緊張感+1、重度ストレス+1。
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これは戦国型SLGでも利用できそうだな。
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34歳春。帝国軍の猛攻。命からがら逃げ延びる。恐怖心+7、慎重+4。
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61歳秋。第一子誕生。年老いてからの子供なので喜びも一塩。充実感から全能力値+7。
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67歳冬。第一子死亡。ショックのあまり全能力値-15。
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トラウマを拡張して“経験”というシステムにすると面白いかもしれない。
SLG案〜人物評価システム(4月1日)
武将の実力を数字で表現する従来の手法の代わりに、
というのはどうだろうか。
韓信。
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故郷では臆病者の怠け者として有名。
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項羽配下の頃はろくに出世しなかった。
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張良たちがやけに目に掛けている。
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古参武将らは不満を抱いているらしい。
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本人は指揮官の座を望んでいるようだ。
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さらに、その人物評価を元にコマンドを実行できるようにしたらどうか。
先ほどの例をもう一度使うと、
韓信。
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故郷では臆病者の怠け者として有名。→同郷の者に当時の話を聞く
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項羽配下の頃はろくに出世しなかった。→元項羽配下の者に当時の話を聞く
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張良たちがやけに目に掛けている。→張良たちに理由を尋ねる
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古参武将らは不満を抱いているらしい。→韓信にそのことを指摘する
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本人は指揮官の座を望んでいるようだ。→韓信にそのことを尋ねてみる
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各人の意見をもとに、その武将を重用するかどうか決めていくわけ。
この方向を追求すれば、数値の上げ下げではない戦国SLGが作れるのでは。
シチュエーションから話を作るtest(5月27日)
シチュエーションから話を作る手法が本当に自分に合っているかどうかを確かめるために実験的に考えてみた。
朝起きたら自分が芋虫になっていたというのはカフカの変身だが、朝起きたら自分の大切な人が虫になっていたというのはどうだろう? カフカの変身の場合、主人公は逃げ回るしかないが、こちらは主人公自身は無事なので、より話のバリエーションを広げられるのではないか?
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冒頭でいきなり虫になってしまうと感情移入しづらい。少しずつ虫になっていくようにしてはどうか。肉体が完全な虫になり、人間としての意識が無くなったらアウト。主人公は限られた時間の中で治療方法を探し回る訳だ。
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この話は一般人である主人公たちが非日常に叩き込まれるという展開が肝なので、主人公に特別な地位や技術があったら萎えちゃうな。『新聞や書籍の中から似たような事例を探し出す』→『現場に行ってみる』というのが各エピソードの基本パターンになるか。情報はガセでまったく役に立たなかったという展開が重なると萎えるので、偽情報だったという話は全体の半分以下にしよう。これなら『偽情報か本物か?』で受け手の興味を維持することができるだろう。
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そういうノリになるのであれば、主人公たちは一人じゃないほうがいいな。4〜5人の小さなサークルで、メンバーの一人が虫化しそうになってしまい、仲間として治療法を探すという展開がいいか。それならAが新潟を探索している最中、Bが博多で大発見して携帯電話れ呼び出すなんて展開も作れるしな。
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病院に連れて行けばいいじゃん、というツッコミを避けるために、虫化したメンバーは不法滞在している留学生という設定にしてもいいかな。入院したら、治療はしてもらえるかもしれないが完治後に強制送還。バイトも勉強も全力で取り組む好人物。周囲からの信望も厚く、だからこそ仲間が力になってくれる。大学生は半年休みだし、日本中を飛び回るにも好都合だな。
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ああ、なんか、すごく話が作り易いな。
もしかしたら、俺の文章を書く姿勢は、受け手の視点の延長線ではないだろうか。こういうのがあったらいいな。こういうのが見たいな。そんな気持ちが原動力になっているのではないか?
それでは調子に乗って、もう1つ。
シンデレラという物語がある。あれを元になにか話が作れないだろうか?
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シンデレラの主人公は女の子だが、それを男の子にすると……単なる変身ヒーローモノの特撮ドラマっぽくなってしまう予感がする。老人が若者に戻るというのもありがちだな。…どうするか?
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シンデレラは貧しい虐げられた末娘が奇麗なお嬢さまになる訳だから、逆に、お嬢様が貧しくて虐げられた娘になるというのはどうだろう? …って、わざわざ主人公が苦労する意図が分からんな。貧しいけど自由な生活っていうなら物語として分からないでもないが、それもけっこう王道な展開だしなぁ。
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でもアイシールド21を見るに、展開が王道でも構わないような気がする。裕福な人間が貧乏人に逆もどり。でも、それが単なる憧れとかだと共感できる読者は少ないだろうな。もっと強烈な要素が必要だ。
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主人公に自由を渇望させたい。でも悲しい話にはしたくない。主人公を終身刑で五十年刑務所暮らしの男にして魔女が十二時間だけ魔法で外に出してくれるという話だと泣けるので避けたい。自由を渇望しているけど、それに読者が同情することなく、でも興味を抱く。それってかなり難しいような………あ!
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閃いた。こうしよう。主人公は独裁者だ。今や権力の頂点に立っているが、それを維持するのが精一杯で好きなことができない。自由が欲しい。そこに魔法使いが現われて「夜中の十二時まで貴方を別人に変えてあげましょう」と持ち掛ける。これなら、主人公がどれだけ自由度を渇望しているか分かるし、でもそれに読者が同情することはないし、同情はしないけど主人公がその12時間をどのように利用するかという部分で興味が持てる。
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でも、それだけの展開で元の木阿弥みたいなオチだと、いま一歩物足りない。どうせ独裁者なのだから「魔法使いから魔法のテクノロジーを奪え!」と部下に命じさせるかもしれない。…いや、部下に魔法使いのことを話したって信用してもらえないだろうから、独裁者自身が魔法使いを追求することになるか。あ、そういうことであれば、十二時間の自由の話は事の発端にして、話のメインは魔法使いの捕獲と魔法テクノロジーの奪取に全精力を賭けた独裁者のロマンの物語でどうだ?
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あれ? よくよく考えてみれば、超常現象の探索に全精力を傾ける独裁者ってヒトラーじゃん。だったら、殺戮者のイメージの影に隠れて、あまり一般で知られていない、オカルティストとしてのヒトラーを描いた物語にしたら面白いかもな。なぜヒトラーはドイツ軍をチベットに派遣したのか? それはチベットの寺院に眠るあるものが狙いだった。そのあるものとは───なんて方向で。
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主人公はヒトラーではなく、ヒトラーに従う若手将校がいいかな。最初は立派な人物だと思って従っていたけど、だんだんヒトラーが何を考えているのか分からなくなってきて恐ろしくなり、ついには暗殺計画に荷担。ヒトラーの目的は何なのか? 彼に予知能力があるという噂は事実なのか? 彼は2030年の未来に何を見たのか? 五島勉が書いた某ヒトラー本を民房書房みたいに効果的に引用できれば、すげえダイナミックな物語が作れそうな予感。
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シンデレラを起点にヒトラーの話が思い浮かぶなんて……。
なんつーか荒唐無稽で楽しそうだ。
さて、この調子でもう1作。今度はRPG。
主人公は“伝説の剣”。プレイヤーが操作するのは伝説の剣の代々の継承者。ロマサガ2、サガフロ2、俺屍のような世代交代系RPG。
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伝説の剣は“持ち主の力を記憶”する。例えば、伝説の剣の継承者が回復魔法の使い手ならば、経験を積むことで、『伝説の剣が回復魔法を取得』できる。
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伝説の剣は装備者とは別個にMPを持つ。例えば、継承者は自分のMPが尽きても、剣が持っているMPを使って、剣が取得している魔法を発動できる。
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そのお陰で、例えば、以前に回復魔法が使える継承者から回復魔法を(剣が)取得していれば、回復魔法が使えない継承者でも、剣の回復魔法を利用できる。
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剣の存在意義はラストボスを倒すこと。そのために様々な達人たちの力を学習していき、最終的には因縁のラストボスを倒すだけの力を蓄える。
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これなら『後々のことを考えて、すごく弱いんだけど回復魔法だけはとことん得意なキャラを継承者にしたい』→『でも回復魔法に優れているだけでは敵に勝てない』→『攻撃技が得意なキャラを先に継承者にして剣に強力な攻撃技を学ばせておく』なんて風に、システムとストーリーと戦略性を同時に立てることができるな。
ゲーム企画(5月27日)
コンセプト | - ファミコン第一世代はもう年齢的にRPGをやり込むヒマがないし、いわゆる主人公たちの葛藤ドラマにも飽きているだろう。彼らにはテーマを訴えかけるようなものよりも、一時期的ではあっても現実のしがらみを忘れることができるような作品が受けるはずだ。
- そこで提案したいのが『風景が素敵なRPG』。絵ばかり奇麗なRPGという言葉は、現在あまり好ましい意味で使われていないが、そこを逆手にとり、その言葉の印象が逆転させてしまうような内容を狙う。コンセプトは『まるで本当にファンタジー世界に来たかのようなロマンチックな風景を楽しめる』。こんな世界を歩き回りたかったよ!というプレイヤーの欲求に応えたい。
- 人間は出来るだけ出さない。美しい風景に人間関係のしがらみは邪魔。エキストラは妖精たち。例えば、紅葉の美しい森の中でひょっこりと顔を出す小人とか、虹の美しい湖からときおり顔を覗く人魚。彼らとのコミュニケーションもまた楽しみ。
- あまり殺伐とした内容にはしたくない。最終目的は誰かを倒すことではなく、なにかを手に入れること。その美しい自然のどこかに、持ち主の願いを叶えるという宝石が眠っている、なんてどうだろう。
- 主人公は魔法の使い手。殺伐とした雰囲気にしたくないので武器はもたせない。魔法でいきたい。
- 昼夜は入れたい。月齢も。新月の森は真っ暗で怖すぎとか。
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ターゲット | - メインターゲットはゲーマーじゃない社会人。
- ゲームが下手な人もターゲット。だから、「操作が簡単!」「ゲームが初めての人でも大丈夫!」といった部分を強調したいな。
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ゲーム性 | - 普段はあまりゲームが得意じゃないような人もターゲットにしたいので、複雑なシステムは搭載しない。単純な王道だけど楽しめるものにしたい。
- 例えば、戦闘システムは逆CTB。行動実行後に待ち時間があるのではなく発動に時間が掛かる。「強い魔法は唱えるのに時間が掛かるのです」というだけのことなので、ゲームの素人でも一行説明を読むだけで理解できるはずだ。
- 「装備」というコマンド名は使わない。普通に「着替える」でいいじゃん。もちろん、装備の変更は見た目に影響を与えるように。そうしなければゲームに詳しくない人に「帽子を外したはずなのに、まだTVには帽子を被った絵が映っています。これって故障ですか?」なんて質問されちゃうから。
- システムは分かり易く噛み砕くけど、ゲームが単調になってしまうほど簡略化するつもりはない。FF4やクロノトリガーのような方向で敵を個性化すれば、シンプルなシステムでも面白いバトルが楽しめるはず。さらに難易度調整機能を用意すれば完璧かな。そのものずばり「バトルマニア用」なんて設定があったりして。
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もう1つの狙い | - ストーリーが目当てのRPGでは、ゲーム終了後に満足して中古屋に売られてしまう可能性も高い。「フィールドを走り回っているだけで楽しいなぁ」「久しぶりにガラス谷の滝でも見に行こうかなぁ」なんてプレイヤーに思わせることができれば、手元に残してもらえる可能性が格段に上がるのではないか?
- 大自然を題材にすることで人間を登場させる必要が殆どなくなる。美しい風景よりもリアルな人間を3Dで描くほうが遥かに難しいというのを考慮。
- 現在も風景が美しいゲームは山ほどあるけど、最大の違いは、最初からお客さんが美しい風景を目当てに買うというところにある。だから制作も販促も、その点に絞ってやればいい。
- 最初から目玉が風景だと分かっているのであれば、お客さんも買う動機を作り易い。
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補足 | スクウェア的な背景絵としての美しさよりも、臨場感を出す方向で力を入れたほうがいいだろうな。DQ6の主人公の家を出たあとの日光の演出はすごく良かった。あんな工夫を積み重ねたい。例えば、高いところから落下するときは、着地する瞬間までを主人公の視点に切り替えれば、それだけでも楽しいような気がする。「今日はあのコースで飛び降りてみようかな!」ってね。或いはDQ2の風のマントのようなものを手に入れて、高いところからむささびのように空を滑空して、そのときも主人公視点で大地を一望できるとか。 |
バリエーション | もし架空の不思議な大自然に不都合があるのであれば、同コンセプトで、実在の遺跡を舞台にしてもいいな。マヤ遺跡とかイースター島とかグランドキャニオンとか。いくらでも題材はあるはずだ。深海何千メートル海の底なんてのも面白いな。 |
上記の例は、あまりゲーム通じゃない人をターゲットにした企画の構想(企画書の形式を整えるのはまたいずれ)。
ちなみに、ばりばりのゲームファンが相手なのであれば、別の案がある。
一行で説明すると、
ロマサガ1のフリーシナリオ制は、結局その後のサガシリーズには受け継がれなかった。DQやFFじゃあ物足りないけど、ジルオールやルナティックドーンだとマニアックすぎるという層に向けた作品が存在しない状況が何年も続いている今がチャンスだろう。
…ふぅ。普段の『ゲーム案』とは異なり、いかに売るかという点について自分なりに考えながら作ってみた。ただ、筆者は売り物のゲームを作った経験はないので、おかしいところがあるかも。あくまで、サイト上のコンテンツ作成能力の向上が(この連載の)最終目的なので、その辺はあしからず。
6月10日
傾向としては
ゲーム | プレイヤーに味合わせたい“楽しみ”を考える起点にしてはどうか |
漫画 | 中心となる人物を描くことに力点を置いてはどうか |
具体例を出すと、
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ソニックじゃ酔ってしまうプレイヤーでも高速でフィールド駆け巡るゲームがしたい→イメージファイトみたいに移動速度を自由に変更できるようにしたうえでクリアタイムを競う横スクロールのアクションゲームなんてどうだろう→最低速度はマリオのBダッシュで最速はFF3のノーチラス並み。
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戦略性の高いRPGを遊びたい→TCGの面白さをRPGに反映できないだろうか→デッキやカードという言葉は使いたくないので軍隊モノにしてはどうか。“ホークマン部隊が敵軍と遭遇しました!”から始まり毎ターン“ノーム治療部隊が戦場に駆けつけました!”とか“ワーボア突撃部隊が戦場に駆けつけました!”とか表示していく訳だ。
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歴史の大河を味わえるようなゲームをしたい→サガフロ2の年代システムを搭載したロマサガ2なんてどうだろう。「同盟国の裏切り」「黒土争奪戦」「政略結婚」「謀反の噂」なんて風に年代開始ごとにテーマが表示されて、いかにそのイベントを乗りきるかという訳だ。当然のことながらプレイヤーの努力次第で各年代の結末は変わる。「1120年…謀反の疑いがある将軍を処刑」を頑張れば「1120年…慎重な調査の結果、謀反の噂は敵国の謀略であったことが発覚」に変えられるとかね。
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アクロバットなアクションゲームをしたい→忍者くん阿修羅の章でお馴染みの連続三角飛び+ストライダー飛竜なんて面白いかも。そこにさらにワイヤーアクションを加えれば完璧か。
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舞台は現代。あるときから飼い猫がお金を拾ってくるようになった。これは一体どういうことだろう? 猫を尾行していると意外な事実が判明することに…。
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軍隊版の男塾って面白そうだな。イメージは20世紀初頭の陸上戦。同じ自己犠牲でも、FF5とは対極の気分が味わえそうだ。「あれはなんだ!? 弾丸が弾かれてしまう!」「貯水漕とかいう敵軍の秘密兵器らしい!」「ぬぬぬぬぬ…そうだ!」「おい、何をする気だ!?」「直接乗り込んで中にいる連中をぶっ倒すんじゃー!」「やめろ、無茶だー!」。ニヤニヤしながら楽しんでもらえれば。
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魔法使いの奥さん。まだ恋愛結婚が一般的ではない世界。風習に基づいて十代半ばで結婚したが、主人公である奥さんは魔法の研究に夢中で旦那を省みない。旦那はいかに奥さんの興味を引くか。馬鹿仲間の力を借りて旦那はあれこれ考えるが、どれもうまくいかず…。
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究極の予言によって、まだ3歳の幼子がのちに世界を滅ぼす魔王になるだろうと予言された。驚いたのは子供の親である主人公。最強の騎士として高名だった彼は息子を抱きかかえて逃亡生活を開始する。彼を狙うのは同僚だった騎士たち。
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魔王ネタをもう1つ。今度は主人公が魔王。魔王と呼ばれて世界から怖れられた男はついに人類を滅ぼした。彼は何千年という月日を掛けて今の記憶を残したまま人生をやり直す禁術を発動させる。彼とて自ら望んで魔王になった訳ではないのだ。失敗の記憶を糧に今度は幸せな人生を歩みたい……そう思っての決断だった。だが過去の世界に戻った魔王は未来の記憶を持つが故に深く苦しむことになる。家族や友人と仲良く接すれば接するほど、かつて自分の手で彼らの命を奪ったときの光景が脳裏に浮かぶのだ。「……」「お父ちゃん、怖い顔してどうしたの?」「…ん? ははは、気のせいだよ」。
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下の2つは、魔王とか騎士とか、いかにもなネーミングを使っているけど、世界観が固まったら、その世界観に合わせて呼称は変更だな。それまでの仮称ということで。
逆に、“魔王”というネーミングを利用した物語を作るなら、下記のような展開でも面白い。
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例えばドラクエの魔王は魔族や悪魔の王様を略したものということで説明できる。もし魔族が存在しない世界で魔王と呼ばれるとしたら、暴君や独裁者といった呼称では済まされないほど人でなしなのだろう。かの織田信長は比叡山焼き討ちで魔王呼ばわりされたそうだから、それに匹敵或いはそれ以上の暴挙をすれば魔王と呼ばれる可能性がある訳だ。なら、一人の君主が魔王と呼ばれ人々から怖れられるまでの過程を描いた物語というのはどうだろう。当人は決して魔王と呼ばれることを望んでいた訳ではない。だが、運命は残酷だった───てね。
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ゲームや物語を芸術として捉えたとき、上記のような内容はどうしようもなくアレだが、ゲームも物語を商品として捉えるなら、需要と供給のバランス次第で上記のような内容にもチャンスがあるだろう。
短編
今までに書いてきた物語のサンプルがどれも長編用のものであることから容易に察せられるかもしれないが、筆者は短編が苦手だ。というか短編を作ったことがない。長編の中の1エピソードとして作ったことはあるのだが。公募で苦労した理由の一因はそこだな。
どうすればいいのだろう? 完全に短編の中で話が完結したほうがいいのか。それとも、壮大な物語の中の1エピソードという形がいいのか。まだ後者のほうが作り易いのだが。
研究のため短編漫画を幾つか読んでみたが、個人的に面白いと感じるのは、人間ドラマにウエイトを置いた漫画ではなく、登場人物が愛着の要らない駒になっている漫画だった。藤子F不二雄のSF短編集なんて素敵すぎる(どうでもいいがあれはサイエンスフィクションではなく歳フェンスファンタジーだね)。個人的には水木しげるの短編も好きなのだが、あれは好みが真っ二つに別れるだろうな。
2つ前の項でゲームと漫画の発想の起点を2つに分けたけど、短編漫画は、ゲームよりの発想で作ったほうがいいのかもしれない。
試しにやってみよう。
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21世紀初頭の現在、「月の土地を売ります」の看板を立てて莫大な金を稼いだ詐欺師。ある日、自宅に帰ってみると宇宙服を被った兎の顔をした奇妙な連中がいた。「な…なんだ、あんたたちは!?」「お前を不動産詐欺で逮捕する!」「はぁ!?」。月まで連行されて裁判を受けることになる詐欺師。「まさか…月に宇宙人がいたなんて…」。彼が見た月の奇妙な文化や風習とは? 彼を待ち受ける奇妙な判決とは?
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大人に立ち入りを禁じられている森に遊びに行った少年は、そこで蝶人がさなぎから蝶になる光景を見てしまう。その美しく神秘的な光景が脳裏に焼き付いて離れない少年。そんな彼はある日、森で息倒れになっている蝶人を見つける。「血…血を…」。蝶人の主食は植物の蜜ならぬ動物(或いは動物という広い範囲ではなく人間でもいいかな)の血液だった。少年はどうにか蝶人を救いたいと考えるが果たして……?
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利権が絡むため熾烈な争いとなる町議会選挙。引っ越してきたばかりで、そういう事情をまったく知らない主人公は軽い気持ちで選挙事務所のバイトを始めるが……。
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十階立ての塔を1回のチャージで崩し倒すという、デタラメの強さを誇る騎士。その強さを目の当たりにした主人公は騎士の強さの秘密を探ろうとするが果たして…?
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いわゆる不思議系だな。その不思議要素が“恐ろしいもの”とか“因果応報”だとホラーになるのだろう。どうやら俺の場合は“未知との遭遇”がメインになるっぽいが、これは不思議業界ではどれぐらいの割合を占める分野なのだろうか。
同じ格闘モノでも味付け次第で、ドラゴンボールにもグラップラー刃牙にもなるように、同じ不思議モノでも味付け次第で個性を出すことは可能だろうな。その辺の研究が今後の課題だな。
もしも正統派の少年漫画の短編を作るならどうなるか。
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いわゆるスポーツ漫画を考えたらこんな話が出来た。→「あ、お兄ちゃん?」「おう。お前、目が見えないのによく分かるな」「なんとなく空気の流れる音で分かるんだ」。そんな少年が目が見えないことを隠して地元の野球チームに入部する。なにせ空気の流れる音が聞き取れるぐらいだから無敵のエースで四番だ。弱小だった所属チームはついに県大会の準決勝まで駒を進む。ところが。「…!? 雑音が大きすぎて肝心の音が聞き取れない…!」。相手チームは全国大会レベル。今まで経験したことがない観客の数。「どうした!?」「いや…その…」。今さら目が見えません、投げられませんでは済まされないだろう。だがどうすればいいのだろう?
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弱い主人公が幼なじみの女の子に学んで強くなった。ところが、あまりの成長速度に、その幼なじみが慌て出す。「あいつが強くなるのは嬉しいけど私は誰にも負けたくない…ッ!」。幼なじみは主人公をライバルとして扱い出す。戸惑う主人公。「いや…その…僕は虐められたくないから強くなりたかっただけで…君のライバルになりたくて強くなった訳じゃ…」「うるさい、黙れッ! 本気で掛かって来いッ! 手加減なんかしたら一生許さないからなッ!」。幼なじみに手取り足取り戦いかたを教えてもらっていたときは正直言って幸せな気分だった主人公。こんな展開になるとは夢にも思わなかった。さて、どうするか。…この話、男と女を逆にしても面白いかも。全国大会優勝の主人公。護身術を教えていたが、みるみる上達していく彼女に嫉妬、彼女としてではなくライバルとしてしか見れなくなってしまう。
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ん? これって正統派か? まあ、いいや。なんとなく短編を作る方法が分かってきたぞ。あとは経験を積んでより実戦向きに修正していこう。
ビジネスに挑戦するのであれば
※もし筆者がビジネスに挑戦するのであればという仮定の話です。
ネット回っていて気づいたけど、小中高生の書く小説は、小説とは名ばかりで台本形式が多い。例えば、
小説形式の例 | 「ごめん、あいつの言っていたことが本当なんだ…」
「え…?」
奈美は顔をあげて克己を見た。克己は俯いたまま震えていた。
「…全部ウソだった。俺は遊ぶ金欲しさに…」
「やめてッ!」
奈美は耳を塞いだ。
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台本形式の例 | 克己「ごめん、あいつの言っていたことが本当なんだ…」
奈美「え…? そんな…」
克己「…全部ウソだったんだ。俺は遊ぶ金欲しさに…」
奈美「やめてッ! それ以上は言わないでッ!」
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台本形式の作品を好んで自サイトで晒している人間は、人間の台詞は漫画とかの延長で書ける読めるけど、情景描写などは慣れてないから書けない読みにくいということだろうか。
…これはチャンスかもしれないぞ。小中高生向きに、台本形式の物語を作れば売れるんじゃないか? 漫画とライトノベルの中間的な存在ということでさ。小説としては異端な形式だから、『小説』とは呼ばず『物語』と呼び、それ以上、定義の話には深入りしない。
個人でやるなら出版よりもネット販売か? まずはネットで小中学生が大勢集まっている場所を探さないとな。gaiaxに出張所でも作ろうか? それとも携帯のほうがいいかな? 携帯だと発言者の名前をいちいち表記するスペースが勿体ないので、FF7のごとく、喋りかただけで誰が発言しているのか分かるようにしようかな? 「がはは!」「きゃはは!」「ほひー!」……ここまでいくと、やり過ぎだが。
6月24日
ドラゴンに会おう!
大戦によってドラゴンが絶滅したと言われる世界。
街の名士が大金を払って竜の骨のイミテーションを買い、組み立てて展示した。
それを見学する主人公と親友。
親友 | でっけえなぁ…。すげえなぁ…。 |
主人公 | 本当にこんな巨大な生き物がいるのかなぁ…。信じられないなぁ…。すごいなぁ…。一度、本物のドラゴンを見てみたいなぁ…。 |
親友 | そうだなぁ…。 |
それから数日して。
親友 | おい、事件だ、事件だ! |
主人公 | なに? |
親友 | 霧谷にドラゴンが現われたそうだぞ! |
主人公 | 本当!? |
親友 | 本当かどうか確かめにいこうぜ! |
主人公 | え…でも学校は…? |
親友 | 学校よりドラゴンのほうが大事だろ! |
主人公 | せめて夏休みまで待ったほうが…。 |
親友 | ばか! 待ってるあいだに誰かがドラゴンを退治しちゃったらどうするんだよ! 今すぐ行くんだ! 一秒でも早く! |
そして2人は霧谷へ向かう。
主人公 | 霧谷まで馬車でどれぐらい? |
親友 | 10日ぐらい。 |
主人公 | 2人合わせても旅費は3日分しかないけど…? |
親友 | そんなこと金が足りなくなってから考えればいいって! とにかく行くぞ! |
それが冒険の始まりだった。
その後の展開 | 主人公と親友は霧谷を去るドラゴンの横顔を見る。そのあまりに雄大な姿に感動した2人は、もっとドラゴンを身近で見たい、もっとドラゴンを長く見たいと思うようになる。その思いが彼らの人生を方向づけた。成長し冒険者となった2人の夢は、ドラゴンに会うこと。そのために世界中の秘境を巡る。何十年という月日を費やした末に2人は大戦を境にドラゴンがいなくなった本当の理由を知ることになる───。 |
魔導書を探せ
廃虚の一角で隠し階段を見つけた主人公と仲間。その奥には魔導書があった。
主人公 | 古代魔法文明の伝説は本当だったのか…。 |
仲間 | 伝説によれば、魔法文明は世界各地に研究所を作ったらしいな。 |
主人公 | ああ。そう聞いている。 |
仲間 | …なら、世界のあちこちに、こういう素晴らしい魔導書が眠っていることは考えれないか? |
主人公 | なるほど。 |
仲間 | 探そうぜ。世界中を。古代文明の叡智を俺たちの手元にさ! |
主人公たちは若手の魔術師。この日、彼らの旅が始まった。
癒し手RPG
馬車を前にして。
恋人 | いってらっしゃ…ごほごほ。 |
主人公 | 無理するな。お前は重病なんだから。 |
恋人 | …でも、次に会うのは3年後だし…。 |
主人公 | 3年の月日を長いと思うなよ? たった3年だ。3年で俺は立派な癒し手になって帰ってくる。お前の身体にすくう病魔は俺が倒す。 |
恋人 | …ありがとう。 |
難病を患う恋人のため、癒し手を志し、故郷を離れる主人公。
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癒し手は、病人の身体にすくう病魔に戦いを挑むことができる唯一の存在。戦闘がそのまま病人の治療に直結するところがポイント。
色々なジャンルの構想
今まで、この連載ではどちらかというとファンタジー色の強い作品構想をしてきたけど、例えば、社会人向け漫画なら。
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国際結婚した夫婦が主人公の文化ギャップを描いた漫画とか。
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↑のバリエーションで、会社の都合で世界を転々とする家族の異文化との出会いと戸惑いを描いた漫画とか。
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今年で六十になる街頭描きを主人公にした漫画とか。
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法律ネタでいくなら、
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不動産もの。不動産関係はトラブルも抜け穴も多いしな。ちょっと古くなってしまったが、借地借家法なんて新ネタもあるし。
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ネット関係の法律ネタなんかも面白いかもしれない。第一話は無断リンクの是非についての話題から始めるか。無断リンクそのものは合法だが説明文次第では名誉毀損その他でしょっ引くことも可能と。
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主人公を外交官にして国際法や国連を題材にした漫画という手もあるな。
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少女漫画とかなら、
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いわゆるネットアイドルとかね。中学生か高校生の主人公がホームページ入門とやらの本を片手に頑張ってサイトを作ったら、何千何万という人が押し寄せて、話題が話題を呼んで雪だるま式に有名になってしまうのだけど、実は最初のほうのアクセスは、同じ学校にいる奴のF5アタックだったという。しかも、サイトに飾ってあった自分の写真がコラージュに利用されたり、匿名掲示板で叩かれたり、自分のところの掲示板を荒らされたり。耐えない苦労。掲示板でいつも励ましてくれていた相手(自称高校生)が、実は40代の独身中年だったり。
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十六歳の専業主婦漫画。御近所さんとの人付き合いがメイン。ジェネレーションギャップに苦しむこともまま。
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女子高生の主人公がガテン系のバイトに精を出す漫画。工事現場のおっさんたちたちとのコミュニケーションがメイン。わびさび。
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ミドルティーン向けの漫画なら、
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ちょっと変わった世間知らずなお嬢さんだと思っていた恋人が、実はちょっとどころじゃない浮世離れした人だった。キスで妊娠すると誤解している恋人になんとか正しい知識を理解させたのだが、その主人公の試みが泥沼状態への第一歩だった。恋人の誤解は、そもそも母親の信仰に起因するもので、当の母親は、娘を変えていく主人公に強い殺意を抱く。娘の前では理想の人間を演じ続ける母親の正体を恋人に教えるべきか否か。
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年貢の過酷な取り立てに悩み、村を捨てて逃げ出した村人たち。彼らは生きるために野盗になった。愛用するのは鎌。鎌を片手に襲い掛かる元農民の野盗団というのは絵的にも恐ろしいだろう。
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日本神話を漫画化したら面白そうだ。神話だからって立派な無いようにしようとは思わず、気楽に読める内容のものをさ。
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歴史モノなら、
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源頼朝とかね。14歳の初陣で親父と兄を失い伊豆に追放、20年間を忍んで暮らし、34歳のとき100人の同志と共に立ち上がり、たった数年で天下を握る。頼朝とその仲間たちの魅力を引き出せれば。
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アフリカの部族闘争。厳密には歴史モノとは言えないかもしれないが。
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ギリシア、アテネの哲学者大弁戦なんて面白いかもな。世界の根本はなにかという問いに、万物の根本は数にあると言い出す男がいて、この世界はイデアの影に過ぎないと言い出す男がいて、四大元素説を唱える男がいて、原子の存在を主張する男がいて。
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ギリシア、スパルタを舞台に、一人の男の戦いの日々を描くのも面白そうだ。男性市民全員が戦士という発想がすげえよなぁ。
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1952年、イスラエル政府は科学者アインシュタイン(彼自身はユダヤ人ではないがユダヤ人の先祖を持ち)に大統領就任を要請したが、彼は政治よりも研究を望み、その要請を断った。…ここまでは事実だが、もしも、アインシュタインがその要請を受け入れていたら、どうなっていただろう? もちろん何も変わらない可能性が高い。彼は政治的には素人だからだ。だが、もっと想像力を膨らませてみよう。彼は戦前アメリカ大統領に核兵器製造を促し、戦後は一点して核兵器の国際管理を主張した経歴の持ち主だ。この一連の流れから、彼は基本的にはハト派だが、緊急時にはタカ派もびっくりの強硬路線を突っ走る可能性もあることが分かる。もし仮に彼がイスラエル政府の権力中枢を握ったらどうなるだろう? 良い方向に転ぶだろうか。それとも悪い方向に転ぶだろうか。数年前に流行った架空戦記のもっとダイナミックなものが作れそうじゃないか?
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…なんか、こうやって、あれこれ考えているうちに思ったけど、例えば、青年誌向きの題材でも、見せかたを工夫すれば少年漫画に出来るんじゃないだろうか? 例えば、ラブロマンスは少年漫画では難しそうな印象があるけど、異性として魅力よりも先に人間としての魅力を描くようにしたら、どうだろう? 或いは、技の応酬や展開の多彩さよりも、ライバルに負けたくないという気持ちに重点を置いて話をじっくり作っていけば、少女漫画でもバトルものを作れるんじゃないかなって気もするな。
漫画に限らずに考えれば、例えば、TVゲームにあまり興味を抱いていない大人たちを夢中にさせるゲームというのはどうだろう。数年前に『僕の夏休み』がヒットしたけど、ああいう元ゲーム少年をターゲットにした作品ではなく、より広い層にはどうか? 例えば、20〜30年前の世相や文化を再現した学園生活シミュレーションなんて面白いかもしれない。ただし、大人がゲームショップでゲームを買うのは恥ずかしいから、DVDが見れるゲーム機ではなく、ゲームが見れるDVD機を家電量販店で売る。ゲームソフトはレンタルビデオ屋などに置いてもらうとか。そういう販売面での工夫も必要だろうな。…あ、そこまでするぐらいなら、パソコン向けに作ったほうが早いか。
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