よく演出面から比較されることの多い両作品。本稿では、ちょっと面白い視点から比較考察してみた。
DQ | 逃げられるかどうかはギャンブル。 |
FF | 初期はDQ型だったが、やがて確実に逃げられるようになった。 |
DQの通常戦闘は主人公を阻む障害だが、最近のFFの通常戦闘は狩りだ。なにかが欲しくて戦うのがFF流といえよう。それがAPなのか経験値なのかアイテムなのかは作品ごとに違うが。
DQ | 初期はギャンブル型。最近は相手の弱点を的確に突くAIの登場によって属性のゲーム的な意義がほぼ消滅。 |
FF | DQに比べて有効な属性を推理し易い。FFの属性の本質はパターン構築。その方向性の極北がFF10のアレ。 |
FFの攻撃魔法は、吸収や無効の特殊能力を持たない魔物には、コンスタントなダメージを与えられる。さらに、『水棲生物には雷』『ボムには冷気』という風に、かなりの形でパターン化できる。DQのようなギャンブル性は薄い。
DQ1〜4は攻撃魔法自体がギャンブルであり、属性は成功率の差に直結した。確率との勝負である。DQ5以降はAIが相手の弱点を的確に突くようになったため、ギャンブル性と推理性はほぼ消滅。
DQ | ギャンブル型。経験と知識と勘を総動員して、行動順を予測したうえでコマンドを組み立てる。最近は咄嗟に回復できるAIの登場でギャンブル性が希薄に。 |
FF | 初期はギャンブル型。ATB採用以降は行動順に関わるギャンブル性が完全に排除された。 |
これは分かり易いので細かな説明は不要かな。
DQとFFの戦闘は根本的に向いている方向が違う。
DQ | DQ戦闘の魅力はギャンブル的な面白さ。最近は独自の路線を目指して試行錯誤中。 |
FF | FF戦闘の魅力はパターン構築の面白さ。ATB等の導入で退屈な作業にならないよう工夫している。 |
初期のFFの戦闘はDQ的な面白さがメインだったが、SFC時代からはギャンブル的要素をどんどん減らし、パターン構築の面白さに主眼を置きはじめた。これはパターンが完成してしまうと退屈な作業と化してしまう危険性があるが、多数のアビリティやATBによって補われている。
DQ戦闘のギャンブル的な面白さは、古典Wizardryからの継承。それだけに完成度は高い。Wizイズムの継承を終えたDQ4以降は独自の面白さを形にしようとAIを導入したが、未だAIならではの面白さを形にするところにまでは至っていない。
実は、戦闘システムの一面において、発展途上の段階にあるのはDQのほうなのである。