DQFF考察その7

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本題に入る前に

まず、本題に入る前に、DQ6〜7の特技と呪文のバランスについて復習しておこう。

メラミ魔法使いに就職してすぐ取得できる(DQ6)。この時期の80ダメージはなかなか。 
ベギラゴン下級職なのにグループに100ダメージは美味しい。 
バギクロス真空波の威力はレベル変動。クリアレベル程度ならバギクロスのほうが強い。 
イオナズン山彦帽子と組み合わせればグランドクロスより強くなる。 
ギガデイン山彦帽子と組み合わせればギガスラッシュより強くなる。 

必ずしも特技のほうが呪文より強いわけではない。ただ、MPを消費する割には思ったほどの威力差がないため、MP節約の観点から言えば攻撃呪文を唱えるのは効率が悪いという結論に達してしまうがちなわけだ。

DQ6〜7のゲームバランス考察

DQ6〜7の特技と呪文のバランスを考えるときに絶対に外すことができない特技が1つある。それはハッスルダンスでも剣の舞いでもない。遊び人と羊飼いが覚える『寝る』だ。

特技MP消費しないので使い放題。
呪文『寝る』でMPを回復できるので実質的に使い放題。

もちろん『寝る』にも短所はある。寝ている最中に戦闘が発生すると行動できない。ところが、

  • DQではフロアが変わるときに遭遇率がリセットされる
  • フロアが変わるときに『寝る』状態も解除される

階段の回りならノーリスクで『寝る』を使えてしまう。つまり、DQ6〜7におけるMP制約という行為には、『寝る』で歩き回る手間を節約する程度の意味合いしかないのだ。
 
巷では、DQ6〜7は、攻撃呪文の価値が下がったとか、特技の使い勝手が良すぎる等と言われている。確かにそのとおりだ。だが実は、5と6のあいだで起こった変化はそれだけではない。
MPを節約する必要がないということは常に全力で(MPをフル活用して)戦闘を挑めるということだ。逆に言えば、たとえ雑魚が相手であろうとも全力で戦う前提でバトルバランスが組まれているということでもある。つまり、

DQ1〜5いかにしてダンジョンの奥までMPを温存するか。
DQ6〜7いかにして強敵どもを打ち破るか。

DQ1〜5と6〜7では、ゲームの方向性がまるっきり変わってしまったのだ。
 
DQ6〜7は死闘を楽しむゲームだ。ところが、DQ6〜7は死闘の連続だったと語るプレイヤーは少ない。それは何故か? 答えは簡単、多くのプレイヤーはゲーム製作者が考えているよりも過剰にキャラを育てすぎてしまっているのだ。
巷でよく、

  • ムドー城やダーマ神殿まではえらく苦労するけど、転職できるようになると途端にヌルくなる。
  • バトルはヌルいのだけど熟練度稼ぎはかったるい。

なんて意見を見かけるが、かったるく感じるほどキャラ育てに時間を掛けたらバトルがヌルくなるのも当たり前だろう。

  • スクルトは強力だけどMPが勿体ないから雑魚戦では節約しよう、というのは従来のDQの発想。
  • 雑魚でもスクルトを唱えて立ち向かうのがDQ6〜7の発想。
  • 逆に言えば、MPを温存したまま勝ててしまうような状況は育ちすぎ

 
DQ6〜7の戦闘バランスは次のようにまとめることができる。

  • ろくに熟練度を稼がないでガンガン進んで死闘の連続に燃えるのが本来のスタイル。
  • 戦闘が苦手なプレイヤーでも、熟練度を稼げば先に進めるという親切設計。

DQ6〜7にはムドー城とダーマ神殿という、どちらも一瞬のミスが命取りになるような難関が存在する。ところが、その難関を越えると転職できるようになってしまい、急に難易度が下がってしまうように感じる。だが、それは気のせいなのだ。DQ6もDQ7も、本当はムドー城やダーマ神殿のようなギリギリの戦闘を楽しむゲームであり、過度の熟練度稼ぎは、それではクリアできないプレイヤーのための救済要素なのである。
 
DQ6〜7は死闘を楽しむゲームであり、戦闘が苦手なプレイヤーのために熟練度稼ぎという救済要素を用意していると解釈すれば、今まで謎だった幾つかの仕様もうまく説明できる。

  • 『忍び足』でエンカウント率を下げることができるのは、戦闘回数を減らす代わりに、個々の戦闘の密度を濃くしようという発想からではないだろうか。
  • 強い特技や呪文が揃えば何も考えずにボスに勝ててしまう。それはあくまで救済要素であって皆に体験してもらいたい要素じゃないから、熟練度上げをできるだけ単調でかったるくしたのではないだろうか。下手にメタル系で効率よく稼げてしまうと、稼がないプレイヤーがバカを見る。
  • 一般にDQ6〜7の転職にはリスクがないと言われているが、『育成に必要な時間と手間』こそがDQ6〜7の転職のリスクなのではないだろうか? プレイヤーにとって、これほど大きなリスクもあるまい。

 
まあ、大胆に言ってしまえば、
DQ6〜7のバトル回りの実体は、初心者救済要素を取り入れたDQ2。
もしDQ6〜7を遊ぶ機会があったら、どれだけ稼ぎの時間を減らして先に進めるか試してみるといい。今までとは一味違った姿が見えるはずだ。


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