DQFF考察4
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FF8のアビリティ制は、FF5のアビリティ制と比べて不自由だと以前に書いた。
FF5 | 適当な組み合わせでもクリアが可能。 |
FF8 | 適切に組み合わせないとクリアが難しい。 |
例えば、物理攻撃担当キャラには『ちから+60%』、魔法攻撃担当キャラには『魔力+60%』を装着しないと、期待通りの働きをしてくれない。お楽しみ要素として見た場合、FF8のアビリティ制は失格だ。
だが、
FF8のアビリティはバトルメンバー個性化のための仕掛けである
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そう解釈すると、FF8のアビリティ制は実に魅力的なものとして理解することができる。
FF8は3人パーティーだが、
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物理攻撃で活躍したいキャラには『ちから+60%』がお勧めだが取得できるG.F.は1体のみ
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とにかく死んでほしくないキャラ(回復担当など)には『HP+80%』がお勧めだが取得できるG.F.は2体
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とにかく早く行動して欲しいキャラには『早さ+40%』がお勧めだが取得できるG.F.は1体のみ
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魔法主体で戦うキャラには『魔力+60%』がお勧めだが取得できるG.F.は1体のみ(しかも『ちから+60%』取得のG.Fと同一)
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このような制約があるため『3人とも同じように活躍ができる』状況にはなりにくい。
つまり、
ジャンクション制のイメージからFF8は『戦闘の役割分担が曖昧』だと思われがちだが、実際には『ばりばりの役割分担ゲーム』
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ただし、FF4のようにキャラの個性が固定化されているゲームと異なり、プレイヤーが自分の意志でどのキャラにどんな役割を割り当てるかを決定できる
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そのキーを握るのがアビリティなのだ。
ちなみに、FF8の役割分担制には抜け道が用意されている。
役割分担よりも全員万能のほうが好きなプレイヤーは、レアアイテムを使ってG.F.にアビリティを覚えさせればOK
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御存知のようにFF8は、とてもストーリー性が強いゲームだ。ゲーム展開上、世界各地を探索する必要も、必須ボス以外の魔物と戦う必要もない。
必要ないにも関わらず、敢えて世界各地を探索したり、必須ボス以外の魔物と戦ったり、カードゲームを遊びまくったプレイヤーへの御褒美として、全員万能キャラ化への道が用意されているのである。
昔のDQにあって、FF8〜9には無かったもの、それは、
だ。
例えばFC版DQ4では、
そんな遊びかたができる。
ところが、FF8〜9には、
ゲームが進むと入れなくなってしまう建造物がたくさんある。回収できないアイテムもいっぱいある。ボスに勝てないけど戻って態勢を立て直すことができない状況もある
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そういう不誠実なところがあるから、
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とりあえず目の前の魔法は全てドローしておかないと不安(FF8)
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とりあえず盗めるアイテムは全て盗んでおかないと不安(FF9)
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本来は自由参加であるはずのお楽しみ要素が、半ば強制になってしまう原因の1つは“不安”なのである。
逆に、そういった不安に対する“安心”こそが、長らくDQのFFに対するアドバンテージだった訳だが、
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グラコスを倒すまでハーメリアから出られない(DQ7)
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使い魔や石人形に第4章で会っておかないと図鑑が埋まらない(PS版DQ4)
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だんだんDQも油断できなくなってきた。将来が不安だ。
FF8とFF10は、明らかに物語を重視した作品だ。だが、この両作品のゲーム性に対するスタンスは根本的に異なる。
FF8 | ストーリー面ではとにかく先に進めと急かしているのに、寄り道しないとキャラを思うように強化できない。寄り道しないで進むとボス戦で延々とドローする羽目になる。 |
FF10 | 寄り道を全くせず、とにかく前進することを想定してゲームバランスが組まれている。もし寄り道したらバランスが破綻(ラストボス瞬殺等のトンデモない結果に)するという、思いきった構造になっている。 |
寄り道することを前提としたFF8と、寄り道しないことを前提にしたFF10。両者の違いが実に面白い。
寄り道前提のゲームバランスにした結果、寄り道せずに苦労するプレイヤーが続出したFF8のことを考えると、FF10のような一本道構造のほうが『続きが気になる』タイプのストーリー重視RPGにとっては好ましいのかもしれない。
少し整理すると、
| 望ましいシナリオ構造 | 代表例 | 補足 |
クリアを目指して一気に遊ぶべきRPG | 一本すじの通ったドラマ | FF6(前半),FF7,FF10 | 少しずつ遊ぶ場合はストーリーを忘れないようメモ書きをお勧めする。 |
クリアを目指さず寄り道を楽しむべきRPG | イベントの集合体 | DQ6〜7,FF9 | 一気に遊ぼうとするとサブイベントの多さが逆に重みにストレスの要因となる。 |
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前述のようにFF8は前者と後者を混合してしまったためにプレイヤーに混乱を与えてしまった。
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FF6は前半と後半でちょうど前者と後者に別れている。
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初期のDQFFはドラマ要素よりも、探索や戦闘といったゲーム要素にウエイトが置かれているので上記の分類には当てはまらないと思われ。
あくまでダンジョンに限定。ボスしかいないような場所は含めなかった。
FF3 | サロニア下水道(オーディン)、ドール湖(リヴァイアサン)、バハムートの洞窟、禁断の地エウレカ |
FF4 | シルフの洞窟、幻獣の洞窟(リヴァイアサンとアスラ)、幻獣神の洞窟(バハムート) |
FF5 | ギルガメの洞窟、石版の洞窟×3、オーディンの洞窟、イストリーの滝(リヴァイアサン)、フェニックスの塔 |
FF6 | 世界崩壊後に行けるダンジョンの大半 |
FF7 | 沈んだ飛空艇(ハーデス)、古の森(テュポーン) |
FF8 | 大海のよどみ(エデン) |
FF9 |
FF10 | 祈り子の洞窟(用心棒)、オメガ遺跡 |
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FF5〜6での充実ぶりが目を見張る。この頃のノリに慣れてしまった人にはFF7以降ずいぶん寂しく感じてしまうことだろう。
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自由参加型ダンジョンは減ったが、隠し要素の数は減るどころか逆に増えている。FC〜SFC時代に見知らぬダンジョンを踏破し強敵を打ち破ることで入手できたレア要素の大半がPS以降ではミニゲームや限定イベントで入手できるようになった訳だ。
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個人的にはもっと燃えるダンジョンを増やしてほしい気分。マップ使い回しのDQ型でも構わないから素敵なバトルを楽しみたい。
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