復活の呪文に関する雑学

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基礎知識・ビットとデータ量の対応表

一般的なコンピューターのデータの最小管理単位はビット。あるビットで表現できるデータ量は下表の通り。

ビット 表現できる
データ量  
1 0〜1 
2 0〜3 
3 0〜7 
4 0〜15 
5 0〜31 
6 0〜63 
7 0〜127 
8 0〜255 
ビット 表現できる
データ量  
9 0〜511 
10 0〜1023 
11 0〜2047 
12 0〜4095 
13 0〜8191 
14 0〜16383 
15 0〜32767 
16 0〜65535 
ビット 表現できる
データ量  
17 0〜131071 
18 0〜262143 
19 0〜524287 
20 0〜1048575 
21 0〜2097151 
22 0〜4194303 
23 0〜8388607 
24 0〜16777215 

ビットでデータを表わす方法

例えば次のような項目はどうやってビットで表現しているのか。

  1. テパの水門を開けたかどうか。
  2. どこからゲームを再開するか。
  3. キャラクターの名前。

 
テパの水門は1ビット(0〜1)で表現できる。次のようにやればいい。

0水門を開けてない
1水門を開けた

Yes/Noで表現できるものは1ビットあれば表現できる。
 
ゲーム再開地点は番号を振って管理すればいい。例えばベラヌールなら 4 だ。

0ローレシアの城
1サマルトリアの城
2ラダトームの城
3デルコンダルの城
4ベラヌールの町
5ロンダルキアの祠
6ムーンペタの町

これなら3ビット(0〜7)で表現できる。ちなみに、アイテムもこのように番号で管理されている。
 
キャラクターの名前は、文字に番号を振って管理する。

10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
 62

たとえば「えにくす」なら、13-31-17-22となる。名前の1文字を6ビット(0〜63)で表現しているわけだ。

DQ2の復活の呪文の仕様

復活の呪文に使用されている文字は全部で64種類(あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもらりるれろがぎぐげござじずぜぞばびぶべぼぱぴぷぺぽやゆよわ)。これは6ビットに相当する。
復活の呪文は最大50文字なので、DQ2の復活の呪文には6×50=300ビットのデータが格納されていることになる。

復活の呪文に格納されている情報

DQ2の復活の呪文に格納されている情報は、

共通
  • ローレシア王子の名前(6ビット×4文字=24ビット)
  • 復活の呪文を聞いた場所(全7個所=3ビット)
  • 所持金(0〜65535で16ビット)
  • 紋章(全部で5つで5ビット)
各キャラごと
  • 仲間がパーティーにいるかどうか(各Yes/Noで2ビット)
  • 3人の経験値(各0〜1000000で60ビット)
  • 各キャラのアイテムの所持数(3人×4ビット=12ビット)
  • 3人の所持物(3人×8個×6ビット=計144ビット)
  • 3人の所持物の装備の有無(3人×8個×1ビット=計24ビット)
フラグ
  • サマルトリアの王子探し(サマルトリア王→勇者の泉の老人。2ビット)
  • ルプガナで船主の孫娘を助けたか(Yes/Noで1ビット)
  • 船を手に入れたか(Yes/Noで1ビット)
  • 水の羽衣を貰ったかどうか(Yes/Noで1ビット)
  • テパの水門を開けたかどうか(Yes/Noで1ビット)
  • 海底洞窟の浅瀬を消したかどうか(Yes/Noで1ビット)
チェック
  • 不正な復活の呪文かどうかをチェックする特殊な項目(その他)
  • 未使用

たったこれだけだ。
この程度の情報でも50文字も必要なのだ。

復活の呪文に格納されていない情報

主なものを抜粋。

仲間2人の名前ローレシア王子の名前から自動的に決定される。48ビット(8文字)の節約
レベル経験値から算出される。(例)ムーンブルク王女は経験値が0〜99のあいだはレベル1。18ビット(3文字)の節約
現在HPと現在MPゲームを再開すると自動的に最大値に戻る。48ビット(8文字)の節約
最大HPと最大MPレベルから算出される。(例)レベル1のローレシア王子の最大HPは28、最大MPは0。48ビット(8文字)の節約
ちからと素早さレベルから算出される。48ビット(8文字)の節約
攻撃力と守備力ちからと素早さと現在の装備から算出される。48ビット(8文字)の節約
魔法の取得レベルから算出される。24ビット(4文字)の節約
宝箱の中身復活の呪文に格納されていない。何度でも取れる宝箱と、その宝箱の中身を既に持っている場合は取れない宝箱がある。61ビット(11文字)の節約
終盤のボスアトラス、バズズ、ベリアル等を倒したかどうかのフラグは復活の呪文に格納されていないのでゲームを再開すると復活する。3ビットの節約

例えば、DQ3〜4のようなレベルアップ時のランダム成長を採用するだけで16文字も増えてしまう。仲間の名前を自由に入力できるようにしただけで8文字も増えてしまう。復活の呪文の制約は想像以上に厳しい。

復活の呪文の内訳ランキング

DQ2の復活の呪文は最大50文字だが、

1位所持アイテム30文字
2位経験値10文字
3位名前4文字

その半数以上を所持アイテムが占める。

おまけ・DQ3に復活の呪文があったら…

1キャラクターにつき、

名前DQ2と同じ管理方法だとすれば4文字必要。
能力値HPとMPは各10ビット。ちから、素早さ、賢さ、体力、運の良さは各8ビット。10文字。
アイテムDQ2と同じ管理方法だとすれば1キャラクターにつき10文字弱。
魔法DQ2と異なり個別に管理しているため10文字程度は必要か。
経験値24ビット。4文字。
その他職業は4ビット。性別は1ビット。計5ビットで約1文字。
最低でも40文字程度は必要…?

4人パーティーでも160文字、11人の枠をフルに登録すると最大440文字という恐ろしい結果に。フラグなどを含めると物凄いことになる。おそらくDQ3は冒険の書の存在を前提にゲームデザインされているんだろうね。


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