FF8のシステムを読む

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FF8のシステムの根本

FF8のシステムを一言で表現すれば、
機械的な繰り返し作業を評価しない
ということだ。
一般にレベル制を採用しているRPGでは「歩き回る→敵を倒す」の繰り返しでキャラクターを十分に強化できるが、FF8はそうではない。機械的な繰り返し作業よりも、プレイヤーの閃き、或いは、明確な目的意識を持ったうえでの地道な調査を評価する。
 
プレイヤーの閃きを評価する例。

  • 市販物を精製するという発想を閃けば、ケアルガやファイガといった有益な魔法を序盤でも大量に揃えることができる。
  • トラビアでのヒントからG.F.トンベリの入手法を推測できれば、Disc4でもショップ屋やジャンク屋を利用できる。
  • 自爆コマンドを活用すればアデルなどの難敵も圧倒できる。
  • 瀕死状態で三角ボタン連打するという発想を閃けば、特殊技を毎ターン使える。
  • 暗黒アビリティに注目できれば、特殊技に頼らず戦闘を進めることができる。
  • 一番基礎的な行動が最も強いことに気づけばゼルのデュエルが最強。
  • アルティミシア城の何体かのボスと出会う方法。

 
明確な目的意識を持ったうえでの地道な調査を評価する例。

  • アダマンタイマイの出現場所。
  • コヨコヨのカードを入手する方法。
  • エンドオブハートに必要な材料。
  • アルティミシア城の何体かのボスと出会う方法。

 
もちろん、他のFFにも閃きと地道な調査が要求される要素はある(例えば『盗む』や『調合』など)。ただ、それはあくまでサブ要素的な位置付けにあり、無視して進んでも問題はなかった。ところが、FF8はそうではない。閃き或いは地道な調査がなければクリアも難しい。FF8は、それまでのFFがサブ要素だったものをメインに据えたゲームだと言えよう。

なぜレベル100のパラメーターが低いのか

FF8は、レベル100になってもキャラクターがそれほど強くならない。

 レベル10 レベル100 
HP600 4000 
ちから20 60 
魔力10 40 

それはなぜか?
 
まず、レベル100の重みが他のRPGに比べて薄いことが挙げられよう。一般にFFシリーズにはDQのメタル系に相当する魔物が存在しないので、レベル100にするには膨大な時間が必要だ。ところが、FF8では、同レベルのアルケオダイノスを2匹倒すだけでレベルが上がる。高レベルのメルトドラゴンなら1匹で1レベルアップだ。FF8において、レベル100は努力の象徴ではないのである。
 
だが最も大きな理由は、アビリティ枠の存在だ。
仮に、レベル100キャラに最もジャンクション効果の高いアルテマを装着したとしても、

HPレベル100+アルテマ装着だけでは半数のキャラが9999に達しない。オメポン戦では9999必須。
ちからレベル100+アルテマ装着だけでは、せいぜい160程度。最高値255には程遠い。
魔力レベル100+アルテマ装着だけでは、せいぜい140程度。最高値255には程遠い。

これ以上キャラの能力値を鍛えるには『HP+20%』『ちから+60%』などのアビリティを装着しなければならない。
だが、
アビリティ枠は通常で2、最高でも4
普通に遊んでいる限りはHP9999+能力値オール255の万能キャラは作れない。FF8はプレイヤーによるカスタマイズ性を損なわないように、レベルによって上昇するパラメーターの量を設定しているのだ。
問題は、特殊技が強すぎて、せっかくの繊細なシステムを活かせなかったという点である。

精製に関する推測

FF8初プレイで精製の魅力に気づいた人はどれぐらいいるだろうか? もし精製の意義が理解できなかった場合、魔法の入手をドローに頼らねばならず、ずいぶん時間が掛かってしまう。発売直後から『敵を倒す時間よりもドローする時間のほうが長い』と散々に叩かれてきたが、裏返せば、それだけ精製が分かりにくかったということだろう。
もし精製が分かり易ければ、それだけFF8のシステムに対する一般的な評価は大きく変わっただろう。精製に対する情報不足は大きな痛手だった。…のだが、頭が痛いことに、FF8の製作者は意図的に精製の情報を抑えたのではないかと推測できる部分がある。
例えば、

  • 精製を活用すれば、ケアルラよりも先にケアルガをお手軽生産できる。
  • 要するにケアルラは精製を使いこなしていないプレイヤーのために用意された魔法だ。

とか、

  • 精製を活用すれば、ファイラよりも先にファイガをお手軽生産できる。
  • 要するにファイラは精製を使いこなしていないプレイヤーのために用意された魔法だ。

もしも、誰もが精製を利用する前提なら、ケアルガ(HP+2200)は強すぎる。テントから精製できる魔法はケアルラ(HP+500)ぐらいに抑えておくべきだろう。逆に言えば、一部の鋭いプレイヤーだけに使ってもらえればいいという気持ちがあったからこそ、ケアルガという上位の回復魔法をテントに割り当てたのではないだろうか。

召喚魔法の役割

ボス敵の行動や特性をよく調べてみると面白いことに気づく。

アデル召喚魔法だとターゲットを選べないので、リノアにまでダメージを与えてしまいがち。
アルティミシアグリーヴァ合体後のアルティミシアはG.F.を即死させる技(名称は表示されない)を使う。

召喚魔法中心で戦えるのはDisc3までで、Disc4以降は召喚魔法以外の戦いかたを模索しなければならないのだ。
 
要求される戦いかたの変化する時期は、ゲーム構成の変化と一致する。

  • Disc4は、ダンジョン探索とバトルだけ(もちろんエンディングもあるが当たり前すぎるので略)。
  • スコールとリノアの関係の行方、ラグナの真実など、シナリオ的に“気になる”要素はDisc1〜3に集中している。

 
以上の2点を総合すると、

  • Disc1〜3は、シナリオを味わうことがメインで、戦闘が苦手なプレイヤーでも先に進めるように、召喚魔法連発でどうにかなる構造になっている。
  • Disc4(厳密にはラグナロク入手後)は、ダンジョン、バトル、キャラ強化など、RPGのゲーム的な部分に重点を置いた構造になっている。

FF8の召喚魔法(ケルベロスなどは除く)は、RPG初心者が“敵に勝てなくてストーリーの先が見れない”という困った状況に陥ることを回避するために用意したものかもしれない。
 

※補足。通常の遊びかたではアデルやラストボスを召喚魔法で倒すのは不可能に近い。だが、エデンでアデルを一撃で倒せば、たとえリノアのHPが同時に0になってもゲームオーバーにはならない(最高レベルなら51000以上のダメージを与えればよい)。また、ラストボスのG.F.即死攻撃はあくまで“ラストボスの行動”なので、ラストボスが行動するよりも早くG.F.を発動できれば問題ない(ただし実際にそれが可能かどうかはまだ試していないので分からない)。一応、極めれば、召喚魔法中心の戦いかたでもエンディングを見れるかもしれないが、現実的な方法ではないだろう。

SeeDランクが下がり易く見える理由

戦闘しないとSeeDランクは下がる。だが、その低下ペースはとてもゆっくりしたもので、10回給料をもらうあいだ1度も戦闘しないとSeeDランクが1下がる程度だ(アルティマニアより)。ところが、実際には、カードゲームにうつつを抜かすヒマがないほどのハイペースでSeeDランクが下がっていくように見える。これは一体どういうことか?
実は、筆記試験でランクを上げた場合、小数点以下の数字(非表示)が切り捨てられてしまう。ランク4で筆記試験に合格すれば5になるが、4.8で筆記試験に受かっても5。そしてここからが重要なのだが、仮に5から0.1低下すると4.9になる。実際の低下量はたった0.1でも、プレイヤーにとっては1下がったのと同じ結果になってしまうわけだ。“せっかく筆記試験でランクを上げたのに、すぐ下がってしまう”という誤解は、筆記試験でランクを上げた際に小数点以下の数字が切り捨てられてしまうことで必要以上に増幅されているような気がする。

レベルについて

FF8のレベルは二重にも三重にも意味が用意されており、一言でうまく表現することは難しい。

初心者召喚魔法に頼りっきりのプレイヤーにはレベルは重要な意味がある。HPと召喚魔法の威力はレベルアップで大きく上昇するからだ。並みの召喚魔法では勝てないアデル戦も、アビリティと応援でガチガチに強化したレベル100のエデンなら突破できる。
中級者G.F.トンベリを入手していないプレイヤーにとって、レベルを上げることは、アイテム集めに必須(G.F.トンベリを自力で入手できるプレイヤーは半分に満たないだろう)。
上級者敵に圧勝する喜びを味わいたいなら低レベルコース、戦闘で歯応えを味わいたいなら高レベルコースという風にキャラクターのレベル次第で異なる遊びかたを楽しめる。

これまで筆者はFF8のレベルを一言で説明しようとしていたが、このように多重の意味が隠されていると解釈したほうが、より自然なのではないかと思う。

FF8のシステムはなにを目指したか?

初期のFFは、戦闘バランスがきつく、とても万人に薦められるようなゲームではなかった。その問題は少しずつ改善され、DQに並ぶ二大RPGと認識される頃には、あまり戦闘が得意ではないプレイヤーでも過剰な経験値稼ぎをせずに先に進めるようになっていた。だが、それ故に古くからのファンからは歯応えがないという突き上げを食らうことにもなった。
…このようなFFの歴史的な経緯から思うに、FF8は『誰でも先に進める』と『上級者のやり甲斐』の両立を目指そうとして、あのような特異な構造になったのではないかという気がする。つまり、

RPGが苦手なプレイヤー時間は掛かるもののドローと召喚魔法のお陰で先に進むことはできる
RPGが得意なプレイヤー精製と暗黒とオーラで快適プレイ

古典的なRPGにおいてプレイヤーの腕前は『先に進める/進めない』の差に繋がったが、FF8はプレイヤーの腕前を『時間が掛からない/時間が掛かる』の差に結びつけたのではないだろうか。例えば、ドローだと何分も掛かるところを精製を使って10秒に満たない時間で済ますと、すごく効率的なことをやっているような気分になれるし。

FF8のシステムの面白さとは?

同様のことはFF9にも言えるのだが、FF8のシステム的な面白さとは、
制作側が巧妙に隠したテクニックを見つけ出す面白さ
ではないだろうか。

  • 市販のアイテムを精製するという発想が有れば、HP+2200。回復魔法にも困らない。
  • 市販のアイテムを2回精製するという発想があれば、ちから+30、精神+60、早さ+48。
  • 市販のアイテムを3回精製するという発想と膨大な予算があれば、特殊技が使い放題になる。
  • 精製をうまく使いこなせば幾らでもギルを増やせる。
  • 従来のシリーズのイメージに騙されず、試しに使ってみれば、暗黒と自爆の強さが分かる。
  • 演出などに惑わされず、威力をコマンド入力時間で割れば、ラッシュパンチとヘッドショックの強さに気づく。
  • 世界中を回ってアダマンタイマイの住処を発見すればライオンハート入手の道が開ける。

分かれば単純な仕掛けなのだ。コロンブスの卵といってもいい。だが、それら隠しテクニックを活用したかどうかで、ゲームの快適さは大きく変わる。
 
なお、参考までにFF9の場合を挙げると、

  • 攻撃系アビリティは『いつでもリジェネ』と組み合わせて攻撃と回復の一体技として利用するのが吉。
  • ダガーの召喚魔法の威力は宝石の所持数に依存する。…実はダガーは攻撃系のキャラ。
  • カーバンクルは装備した宝石との組み合わせ次第で使い勝手がぐんと変わる。
  • 竜の紋章や盗賊の証などは、どうすれば威力が増すかに気づけば最強の攻撃手段になる。
  • リミットグローヴ、突撃、リーチセブンなどは、正しい使いかたに気づけば凶悪。
  • モグのお守りや応援の効果は自力で探らねばならない。
  • ラストダンジョンの幾つかのアイテム(ランスオブカインなど)を入手できないプレイヤーも多いだろう。
  • ハーデス発見はコヨコヨほどではないが難しい。というか理不尽。
  • そもそもカードゲームはルールの把握から始めないといけない。

面白いことに、FF10には、FF8〜9で顕著に見られたような意地悪な隠し要素は殆どない。意外な使いかたをするアビリティはせいぜい賄賂ぐらいだし、隠しアイテムの発見もそれなりに楽だ(むしろ発見後のミニゲームが難しい)。これは一体どういうことだろうか?
 

※FF9では、従来のFFの『攻撃型アビリティ=大ダメージ手段』という図式は成り立たない(特に後半は)。ダメージそのものはアビリティよりも通常攻撃のほうが強いことすらある。この不可解に見える仕様は『いつでもリジェネ』と組み合わせて、やっと意味が分かる。つまり、普段は通常攻撃中心で戦い、HPが減ったら演出時間の長い攻撃型アビリティを発動して演出時間中にHPを回復させればいいのだ。
『いつでもリジェネ』の存在によってケアル系の価値が没落したが、これは意図的なものであると思われる。スタッフインタビューなどを読むと、製作者は8人のメインキャラクターを(戦闘面で)等価に扱いたかったらしいことが分かる。従来の『回復キャラが最低1人は必須』という図式を壊し、回復キャラが1人もいないようなパーティー(ジタン、スタイナー、フライヤ、ビビとかね)でもクリアできるような構成するため、特定のキャラにしか使えないケアル系よりも、誰もが装着できる『いつでもリジェネ』に重きを置いたのだろう。

興味深いインタビュー

ATBやアビリティ制を開発し、FF9とFF12ではディレクターとして指揮を振るう伊藤氏。彼はFF8でドローやジャンクションやレベル連動制というバトル回りを担当している。ゲーム発売前のインタビュー記事で彼はこんなことを答えていた。

FFって実験的なことが許されるソフトじゃないですか。だから思い切って実験しちゃえ、と考えたわけです。何百万人の人に実験してもらおうと思いました。

また、いま手元にソースがないが、どこぞの雑誌で野村哲也氏がリノアはいわゆる美形キャラではなく印象に残るキャラを狙っているなんて発言していたりする(これも発売前の発言)。
 
インタビュー記事に前もって目を通していたかどうかでFF8に対する印象がだいぶ変わるかもしれない。

精製のヒント

FF8をスマートに進めるうえで事実上必須といえる精製。だが初プレイでは多くのプレイヤーが精製の便利さに気づかなかった。確かにFF8劇中で精製の便利さを直接説明するシーンはない。だが、よくよく観察すると、間接的なヒントが見つかる。

  • ゲーム序盤で戦うボグラナルド+ラルドは魔導石を16個も落とす。
  • この時点で取得可能な魔法精製のアビリティは、炎魔法精製、氷魔法精製、雷魔法精製、生命魔法精製の4種類。
  • 魔導石からは上に挙げた4つの精製アビリティのどれからでも魔法が作れる。しかも、どれもガ系の魔法だ。この時点のガ系魔法は実に魅力的だ。

つまり、精製関係のアビリティさえ取得すれば、グラナルド+ラルドが落とす魔導石で、精製の魅力を実感できる構成になっているのだ(魔導石は精製以外で16個も使うことはないので、もし精製関係のアビリティの取得が遅くなっても問題ない)。
おそらく『魔導石で精製の有効性を知る→精製に興味が湧いて片っ端から精製アビリティを覚える→テント(ゲーム開始時に既に所持)からケアルガを精製できることに気づいてさらにウマー』という流れなのだろう。
 
しかも、この時点で入手できる魔導石の存在は↓の伏線にもなっている。

市販アイテムの二段階精製

ティンバーで購入できる魔法の書やドローの書は、魔導石を経由してガ系の魔法などを精製できる。慣れるまでは『アイテム精製を経由して魔法に精製』という流れは分かりにくいが、

  • ティンバーで売っている魔法の書などから精製できるアイテム。
  • ガーデンでグラナルドたちが落とすアイテム。
  • どちらも同じ魔導石。

グラナルド戦で入手した魔導石からガ系の魔法が入手できることを確認していたプレイヤーなら、魔法の書やドローの書から魔導石を精製できると知った時点で、その魔導石をさらに精製すれば魔法を入手できることに気づく。プレイヤーが段階的に精製の面白さを理解できるよう、かなり意図的な工夫が為されていたわけだ。実際には、前提である『グラナルドが落とした魔導石で精製の素晴らしさを〜』の部分で躓いてしまったプレイヤーが多かったようだが(筆者もその一人)。

氷魔法精製の意義

序盤で入手できる3つの精製アビリティ、雷、氷、炎。

雷魔法精製サンダー、サンダラ、サンダガ、エアロ(+22)、トルネド(+48)。 
氷魔法精製ブリザド、ブリザラ、ブリザガ、ウォータ(+24)。 
炎魔法精製ファイア、ファイラ、ファイガ、フレア(+56)。 

この表だけを見ると、氷魔法精製だけがやけに弱く設定されているように見える(括弧内はちからの上昇量)。だが実は、

雷魔法精製ケツァクウァトルにはHPJやカードなど精製より優先して入手すべきアビリティがある。 
氷魔法精製シヴァが取得できるアビリティのうち精製よりも優先すべきアビリティはない。 
炎魔法精製イフリートにはHPJやちから+20%など精製より優先して入手すべきアビリティがある。 

しかも、

エアロ作りエアロの材料が集まるのはティンバー以降。 
ウォータ作りウォータの材料はバラムでも集まる。 
フレア作りフレアの材料が集まるのはゲーム中盤以降。 

バラムにいる時点で氷魔法精製を取得し、ウォータを作っておくと、SeeD実地試験が楽になる。氷魔法精製はピンポイントで役立つ存在だったわけだ。

※ちなみにウォータはゲーム終盤でもう一度役に立つ場面がくる。それはジャボテンダー戦だ。ジャボテンダーは水系で3倍ダメージなので、特殊技が苦手なプレイヤーは属性攻撃Jウォータでガンガン斬りつければいい。

ケアルガのHP+2200

テントを精製するとケアルガになる。ケアルガを装着するとHP+2200。はっきり言ってDisc1の時点では無敵に近い。…なぜテントから作れるのはケアルラではなくケアルガなのだろう?
 
序盤でHP+2200の意義は、Disc1の想定HPと特殊技の存在を意識すると、なんとなく分かる。

  • Disc1でHPJを利用できるG.F.は3体。
  • そのうちイフリートとケツァクウァトルはAPを溜めて取得しなければならない。
  • 初期取得しているブラザーズは入手がけっこう難しい(初心者には迷路もバトルもきつい)。
  • そのためDisc1のあいだはHPJがなくてもクリアできるバランスになっている(HPJがないとつらいのはミサイル基地以降)。
HPJなしHPは600以上 
HPJケアルガHPは2800以上 
  • 特殊技をオーラなしで発動させるにはHPを最大値の1/3以下に抑えなければならない。
  • HPJケアルガしていればHPを1/3にしても900以上になる。
  • それぐらいHPがあれば、Disc1のあいだは危なげなく特殊技を連発できる。

おそらく、Disc1におけるケアルガのHP+2200は、特殊技の利用を前提とした数字なのだろう。

※ちなみに、Disc2のミサイル基地以降は、ボスも強くなり、特殊技目当てでHPを下げていると戦闘不能にされてしまう状況も増えることになる。おそらくDisc1のあいだは、プレイヤーをシステムに馴染ませるために敢えてヌルくしているのだろう。

ゲーム序盤のブライン

電波塔F1とラルドからドローできるブラインは、おそらく対ディアボロス戦を想定して配置されたものだろう。

  • ディアボロスの行動は打撃、グラビデ、グラビジャの3種類。
  • グラビデとグラビジャは割合ダメージなのでそれ単独で死ぬことはない。
  • 割合ダメージでHPを削られたところを打撃で倒されるというのがディアボロス戦でよくある負けパターン。
  • ブラインでディアボロスを盲目状態にすればディアボロス戦の難易度が大きく下がる。

ドローグラビデとブラインのお陰で、ディアボロス戦では、特殊技に頼らなくても安定した勝利を達成できる。

FF8におけるコンプリートの意義

FF8に限らず、RPGのゲームバランスを考察する際において、踏まえなくてはならないことは『クリアすること』と『極めること』の違いだ。例えば、FF10の訓練場やFF9のオズマはバトルマニアのためのおまけ。あれを根拠にゲーム全体バランス云々を語るのは筋違いだろう。
そのような視点からFF8を見ると、理不尽な謎、理不尽な敵は、やはり『極め』系のおまけ要素に集中的に配置されていることに気づく。

理不尽な謎とき
  • G.F.トンベリの入手法を自力で発見するのはなかなか難しい。だがG.F.トンベリはクリアに必須ではない。
  • アルティミシア城の絵画の謎はけっこう難しい。だが封印の1つぐらい解けなくても平気だ。
  • コヨコヨに出会うのは大変だ。でもコヨコヨだってオマケに過ぎない。
  •  
理不尽な敵
  • ジャボテンダーのHPは無茶苦茶だ。だがジャボテンダーは倒さなくてもいい敵だ。
  • FF8のモルボルは理不尽なぐらい強い。でも倒す必要ないので逃げてもOK。
  • もちろんオメガウェポンは自己満足のために戦う相手だ。
  •  

FF8において、アイテム、カード、G.F.などをコンプリートするには、上記のような理不尽な謎、理不尽な敵を打ち破らねばならない。要するに、FF8におけるコンプリートとは、誰でも頑張れば達成できる類のものではなく、通常プレイを生ぬるく感じる達人のために用意された要素なのだろう。

ジャボテンダーやモルボルをおまけと見做した理由

上でジャボテンダーやモルボルは倒さなくていい敵だと書いた。筆者がそのように判断した理由は彼らのHPにある。
まずは、ゲーム本編を進めるうえでクリアすべきボスモンスターのHPに注目してほしい。

アデル最高レベルで51000 
魔女(3)こちらのレベルに関わらず32500 
封印のしもべたちHP10万を超えるものは滅多にいない 

このように、ゲーム本編を進めるうえでクリアすべきボスモンスターのHPが10万を超えることは滅多にない。その一方で…、

ジャボテンダー最高レベルで600000 
トンベリキング最高レベルで250000 
アルテマウェポン最高レベルで160000 
モルボル最高レベルで約150000 
ルブルムドラゴン最高レベルで約90000 

どうだろう? かつて魔女戦争を引き起こしたアデルや、アルティミシアに仕えるしもべたちが、薄っぺらく見えてしまうほどのHP。中でもジャボテンダーはラストボスの総計に匹敵するHPを持つ。彼らはラストボスを倒す過程で戦うモンスターというよりは、オメガウェポンを倒す過程で戦うモンスターと解釈したほうが妥当ではないだろうか。
 

Memoもしかしたら、バトルがあまり得意ではないプレイヤーにアドバイスするときは、バハムートやジャボテンダーはクリア後のお楽しみに回させたほうがいいかもしれないな。例えば、グリーヴァのショックウェーブパルサーは出るタイミングが分かり易いので対策を立て易いけど、バハムートの前座で出るルブルムドラゴンのブレスは何時くるか分からないのがつらい。G.F.バハムートやサボテンダーは極めようとするなら欲しいけど、ただクリアするだけなら無くても平気だしね。

FF8のゲームバランス考察

ゲーム本編を進めるうえでクリアすべきボスモンスターのHPが10万を超えることは滅多にないという事実は、なかなか興味深いことだ。

  • ちから160以上でトリガー入力すれば暗黒で9999ダメージ
  • 同じぐらいの魔力でトリプル化メテオを唱えれば7000×3ダメージ(計21000ダメージ)

上に挙げた攻撃手段は、HP6桁のモンスター相手では心細いが、HP5桁のモンスター相手なら十分すぎるほど強い。一般にFF8は瀕死状態で三角ボタンを連打して特殊技を連発するイメージが強いが、その気になれば、打撃(暗黒)主体の戦いかた、魔法主体の戦いかたでも構わないわけだ。
ある意味、HP6桁のボスに対する有効打が特殊技に限定されるという状況は、FF10の訓練場末期になるとクイックトリックと一部キャラのオーバードライヴ以外の技が役に立たなくなるという状況と似たようなものかもしれない。

※ちなみに、ゲーム本編のボス敵のHPはせいぜい10万未満だが、ラストボスのHPは最高レベルで合計60万を超える。数字だけ見ると無茶苦茶なバランスのように見えるが、最終決戦なのでアイテムや魔法を温存しておく必要がないことに注目してほしい。FF8には無敵化やオーラ化など、強力なアイテムや魔法が幾つも存在する。それらが存分に使えるラストバトルと、温存したほうがいい通常のボス戦では、その重みがまったく違う。

FF8のおまけ要素

ゲームの各要素を『本編』『おまけ』に分けてみると、FF8というのはずいぶん豪華な作りになっていることが分かる。

  • シナリオをより楽しみたいプレイヤーのために釣り爺さんやシュミ族の村などにサブイベントが用意されている
  • ミニゲームを楽しみたいプレイヤーのためにカードゲームが用意されている
  • 謎ときを楽しみたいプレイヤーのために絵画のような難しい謎ときが用意されている
  • 探索マニアのためにオーベール湖イベント、さらにはコヨコヨが用意されている
  • 収集マニアのためにモンスターが落とすレアアイテムが幾つも用意されている
  • バトルマニアのためにHP6桁の強敵が用意されている
  • 圧勝する醍醐味を味わいたいプレイヤーのためにエンドオブハートが用意されている

FF8には様々な需要に応えるために、様々な要素を揃えた。その中には、HP6桁の強敵とエンドオブハート、シナリオとカードゲームなど、相反する楽しみもある。おそらく、FF8は『全てを極める』遊びかたではなく、『自分の好きな要素をピックアップして楽しむ』遊びかたを想定した構成になっているのだろう。

補足FF8は『自分の好きな要素をピックアップして楽しむ』構成ゆえに、全体を通して見ると、一貫性のなさが気になる人もいるかもしれない。FF10を和食専門店に喩えるなら、FF8は和洋中なんでもあるバイキングのようなものか。雑多なバイキング形式をお得と思うか、節操がないと感じるかは、その人の感性に依るところが大きいだろうね。

最終決戦の考察

ラストボスのデータには幾つか疑問がある。

  • 4連戦の中で最もダメージの大きい技を最終形態ではなくグリーヴァが使用する
  • 最終形態はHPこそ多いものの、下半身を倒せばアポカリプスを防げるし、ヘルジャッジメントでは誰も死なないので、それほど怖くない。

これは一体どういうことか?
 
その疑問を解くために、まずアルティミシアの各形態の主な行動をまとめてみた。

第一形態強力な割合ダメージ(メイルシュトローム) 
グリーヴァ強力な割合ダメージ(グラビジャ)、魔法消滅、ショックウェーブパルサー 
第二形態魔法消滅、G.F.抹殺、グレートアトラクター(ショックウェーブパルサーよりは弱い) 
最終形態魔法消滅、G.F.抹殺、ヘルジャッジメント、アポカリプス(下半身を倒せば防げる) 

この中で注目すべきは、魔法消滅とG.F.抹殺(どちらも実際の技名は不明)だ。
FF8の魔法はキャラ強化の機能も兼ねている。もしジャンクション中の魔法を消されてしまったら、能力値が大幅に落ちてしまう。長期戦になるほど、こちらは不利になる。つまり、

グリーヴァいかにしてショックウェーブパルサーを防ぐか(防御面が大事) 
それ以降重要魔法が消される前にいかにして倒すか(攻撃面が大事) 

最終形態の怖さは攻撃の激しさではなく、そのばか高いHPそのものにあるわけだ。
 

補足アルティミシア第一形態は魔法消滅を使用しない。つまり、補助魔法によるパーティー強化やパーティーアタックによるメンバーの選別は第一形態のときに行えということだろう。もし第一形態から魔法消滅を使われてしまうと、かなりきついのでは?

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