記憶障害が起こり、時間圧縮の世界から帰れなくなったスコール。彼が副作用の存在を知りながらG.F.を使い続けたのは、
スコール「戦い続けるかぎり、G.F.が与えてくれる力は必要だ。その代わりに何かをさしだせというなら俺は構わない」
この発言は次のように整理できる。
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まず前者に注目してほしい。
FF8特有の、
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こういったシステムは、単なるシステム側の暴走ではない。物語側からの要請でもあるのだ。FF8の物語は『G.F.がもたらす力に比べれば人間が努力で得られる力なんて微々たるもの』という前提のもとに成り立っているのである。
FF8は、
× | 努力の末に世界を救う物語 |
○ | 代償と引き換えに大事な人を守る物語 |
というわけだ。
続いて後者。よくよく考えれば、記憶障害はとても恐ろしい副作用だ。例えば、任務中に自分の目的を忘れてしまったらどうする? 味方の顔を思い出せず目の前にいる相手が敵か味方か分からなくなったら? 記憶障害はやばい。戦い続けるための手段なのに、一歩間違えると戦うことすらままならなくなる。
ところがスコールの頭には危機感がまるでない。最初に自覚した記憶障害の症状が“幼少期の思い出を忘れてしまった”だったため、彼らは記憶障害なんて大したことないと思い込んでしまったのだ。その思い込みがスコールを破滅の寸前まで追い込む。
つまり、FF8のシナリオを語るうえで揶揄されることの多い『みんな幼なじみだった』という唐突な真実は、唐突なこと自体に意味があるのである。
FF8の問題点と騒がれることの多い、
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それ自体は不可欠なものなのだ。