サイファー論
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サイファー考察
一般にサイファーはトラブルメーカーの印象が強い。
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訓練と称してスコールに怪我を負わせた
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魔女の言葉に乗ってガーデンを裏切った
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スタンドプレイを好み、その結果、万年SeeD候補生
これだけ見れば、単なる嫌な奴だ。ところが、
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ライバルであるスコールのSeeD就任を自ら率先して拍手で迎えた
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リノアを助けるために懲罰室を抜け出しティンバーに駆けつけた
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やりかたはともかく風紀委員として校内の風紀を正すのに熱心
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自分の命令を無視しスコール側についた風神雷神に悪態つかず、爽やかに「ありがとよ」と送り出した
こういった場面のサイファーはすごく格好良い。むしろスコールよりも主人公に相応しくないか?
いかにも悪役風味なサイファーと、スコール以上に主人公っぽいサイファー。
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このサイファーの二面性に混乱したプレイヤーも多いのではないかと思う。どちらが本当のサイファーなんだ? 嫌なサイファーと格好良いサイファー。まるで同一人物の言動とは思えない…?
サイファーは、自分の夢を魔女の騎士になることだと語っていた。実際、魔女の騎士になるチャンスを見つけるや、ガーデンという帰る場所も命懸けで助けようとしたリノアも捨てて、魔女の騎士になってしまう。だが、その割にはDisc3終盤であっさりとその夢をやめてしまう。
あれほど騎士に固執していたのに、どうしてこうもあっさり廃業したなんて言えるのだろうか? リノアとスコールが魔女とその騎士になってしまったから? それもあるだろう。だが、それだけだろうか?
……ここで発想を180度変えてみよう。サイファーは盛んに魔女の騎士になることが俺の夢だと言っていたが、あの発言が正確なものじゃないとしたら?
実はサイファーの夢が、魔女の騎士とは別にあったとしたら?
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一見すると、この推測はサイファーの言動と矛盾するようにも思えるかもしれない。だが、これから行う説明を読めば、きっと納得して頂けるのではないかと思う。
サイファーが抱いていた真の夢とはなにか? それは───、
だ。言い換えれば、
そう考えれば、あれほど魔女の騎士にこだわっていたのも、
映画の影響で、魔女の騎士こそ最高のヒーローだと思った。
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だと説明できる。
サイファーは、劇中のもろもろの状況を通して、「騎士≠ヒーロー」という結論に達した(達しざるを得なかった)のだ。それが「騎士は廃業した」という言葉に繋がったのである。
サイファーの目的がヒーローになりきることだとすれば、サイファーの言動は容易に理解できる。
訓練と称してスコールに怪我を負わせた | ヒーローに負けは許されない。それがたとえ訓練であったとしてもだ。 |
魔女の言葉に乗ってガーデンを裏切った | 俺には夢のために全てを犠牲にする覚悟がある! |
スタンドプレイを好み、その結果、万年SeeD候補生 | チームプレイ? かの魔女の騎士は一人で魔女を救ったんだぜ! 俺だってよ! |
ライバルであるスコールのSeeD就任を自ら率先して拍手で迎えた | ヒーローは狭量じゃいけないよな! |
リノアを助けるために懲罰室を抜け出す | 危機のときに駆けつけるのがヒーローってもんだろ? |
風紀委員として校内の風紀を正すのに熱心 | ヒーローたる者、戦うばかりが脳じゃないぜ。世のため人のため頑張るのが真のヒーロー道ってもんだ。 |
(おまけ)風紀委員のくせに自分は制服を着ない | う、うるせえッ、ヒーローが地味じゃ話にならないだろうがッ! |
さらに言えば、
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なぜ通常攻撃のとき、わざわざ敵の目の前で一回転するのか? 隙だらけなじゃないか。
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任務中も戦闘中も喋り過ぎ。しかも内容が大袈裟で、自分の発言に酔ってる節すらある。
そういったサイファーの“らしさ”も納得できる。映画だの漫画だのの影響がそのまま行動に現われているのだろう。
サイファー「魔女の騎士と悪の傭兵が戦う宿命の物語、一緒に楽しもうぜ、スコール。俺をがっかりさせるな!」
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なんて発言もあることだし。
FF8で一番のロマンチストは、意外にもサイファーなんだよね。
サイファー考察その2
従来のFFにおいて“夢”という言葉は好意的な意味で使われることが多かった。それだけに、夢に振り回されて破滅へと突き進むサイファーの姿はむごい。
サイファー「いつか聞かせてやるさ! ロ〜マンチックな夢をな!」
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スコール「魔女のペットになったのか?」
サイファー「魔女の騎士といってくれないか? これが俺の夢だった」
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サイファー「スコール、俺の晴れ姿、どうだった?俺は魔女の騎士になりたかったんだ。ガキの頃からの夢だったぜ」
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一番輝いていた頃のサイファー。だが、問題は、それが序盤だということだ。物語が進むにつれて、彼はどんどん没落していく。
スコール(…魔女の、騎士。ロ…マン…ティックな夢、か? でも…サイファー…、これじゃ、ただ、の…)「…拷問、係だ」
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サイファー「クソッ、まだだ。俺はまだ終わる訳にはいかない」
魔女イデア「…役立たずめ」
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サイファー「俺は魔女イデアの騎士だ。俺がいるかぎり、指一本触れさせない」
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サイファー「ぐはっ! 魔女の騎士の俺が負ける…?」
魔女イデア「負けたか…。使えぬ男よ」
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イデアにここまで言われるサイファー。騎士としての立場なし。
さらにDisc3でリノアとスコールが魔女とその騎士になり、サイファーが魔女の騎士に託していた想いは完全に破綻する。そして…。
サイファー「騎士は廃業した。今の俺は若き革命家ってとこだな」
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スコール「なにやってんだよ」
サイファー「いつでもデカイことやってたいんだよ! 止まってたくねぇ。俺は走り続けてみせる! ここまで来たんだからよ、俺はゴールってやつを見てやるぜ!」
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表面的には強がっているが、実はかなり追い込まれているんじゃないか? 騎士から革命家に気移りしたというよりも、俺は革命家だと思い込まなければ、恐怖や重圧に潰されてしまう、というのが真相ではないか?
実際、サイファーは最後の最後でこんな言葉を口走る。
リノア「サイファー! やめなさいよ! もう気が済んだでしょ! あなた本当はそんな人じゃない!」
サイファー「もう戻れねえんだよ! どこにも行けねえんだよ!」
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考えてみてほしい。彼はもうガーデンに帰れない。それどころじゃない。アルティミシアの片腕として、あまりに暴れ過ぎた。もしアルティミシアが負ければ、自分も戦犯に問われるかもしれないのだ。今さら謝って赦してもらえるか? とても無理だろう。たとえ度重なる敗北や宿敵スコールが騎士になったことで、夢から醒め、自分の歩んだ道が誤りだと気づいたとしても、もう遅い。もう彼にはアルティミシアの腹心としての立場を貫徹する以外の道はないのだ。
だが、そんなサイファーの迷走に救いがあるとすれば、それは下記の台詞だ。
自分の命令に違反し、人質を勝手に釈放してしまった風神と雷神。彼女たちはそればかりか、今のサイファーを否定する。
風神「サイファー、あんた操られてるだけだ。もう自分の夢もなんも無くして、変なものの言いなりになっているだけだ。だから、元に戻ってもらいたいんだよ!」
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もしもサイファーがこの時点に至ってまだ夢に浮かれているのなら、風神の言葉に耳を貸さなかったに違いない。だが、サイファーは風神と雷神に礼を言った。そこに、サイファーの最後の意地を感じることができる。きっと、風神や雷神がサイファーを慕うのも、サイファーのそういう側面に惚れ込んでいるからに違いない。
なぜサイファーは赦されたのか
あれだけ世界を混乱に陥れたサイファー。なぜ彼はエンディングで呑気に釣りなんかを楽しめるのか? 本来ならば一連の騒動に荷担した罪で戦犯として裁かれてもおかしくない。どうしてサイファーは、そして風神雷神たちは裁かれないのか?
まず最初に考えられる説は『魔女に操られていたから責任能力がない』というもの。だが、それだとサイファーは救えても、風神雷神が救えない。
そこで考えついたのが、下記のような説。
サイファーの一番の被害者はエスタ(ルナパン事件のときサイファーはガ軍総司令官)だが、サイファーやガルバディアの戦争責任を追及しようとすると、そもそもエスタ自身が魔女戦争で引き起こした戦争責任を未だ解決していないという問題に突き当たってしまう。むしろエスタにとって望ましいのは「過去の遺恨にこだわらず未来に向かって前向きな関係を築こう」という立場に徹することだ。
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ラグナはそこまで深く考えないだろうけどね。エスタは官僚制が進んでいるので、政府高官をある程度納得させるには、こんな説明が必要かなと。
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