Section 10 - Special Encounters
10.特殊イベント |
パーティーが部屋に踏み入ると記述が現れる、それが特殊イベントである。谷に入るとモンスターが攻撃を仕掛けてくる、これも同じく特殊イベントである。鍵のかかったドアで、正しい鍵であくことができるのもそれである。一般的には、通常は起こり得ない不思議なことが特殊イベントである。
特殊イベントを自分で簡単なものから厄介なものまで作ることができる。分かり易いテキスト記述、あるいはアイテムの入手、あるいはダメージ、はてはパーティーのこれまで全うした任務(処理フラグで設定したとおり)によって結果が複雑に分岐しているものまで可能である。
特殊イベントがプレイすることで発現するのを「特殊イベントを呼び出す」とする。呼び出す方法は多種多様であって、パーティーが目にし、あるいは足を踏み入れるか、野外でワンダリングモンスターに出くわすか、特定のモンスターを殺害するか、"Ritual of Sanctification"で邪悪の祭壇に向けて唱えるか等である。どんなときにどのようにして 呼び出されるのかは問題ではなく、同じ方法で作られ、BoEにおいて同じ方法で呼び出される。これは多くの部類に分けられるが、それ以前に特殊イベントがどういう背景で作用するかが重要となる。
特殊節(Special Nodes)
特殊イベントの基本要素は特殊節と呼ばれる。どの街や野外のブロックも特殊節の一覧を有し、シナリオ自身がそれらを束ねている。特殊節は特殊イベントの礎である。
特殊節というものは命令である。特殊節の種類には、メッセージ表示(Display
Message)でテキストを表示させるものや、ダメージ(Damage Party)でパーティにダメージを与えるもの、パーティを毒に冒すもの、アイテムを手にするものなどである。
特殊節が呼び出されると、起こるのはBoEにある作成した特殊節で、命令を実行する(我々はこれを特殊節を呼び出すとする)。特殊節が出来る1つのことは、何かをして、他の特殊節を呼び出すことである。これはリンク(chaining)と呼ばれる。共に数種類の特殊節を、長く複雑な特殊イベントのためにリンクすることもできる。例えば、毒ガスが噴射されてダメージをうけることである。この場合は、BoEの特殊節で"You've
been gassed!"のメッセージを表示し、他の特殊節を呼び出す。次の特殊節はパーティーにダメージを与え、3番目の特殊節でパーティーを毒に冒し、以後は指定する必要はないとする。この場合は特殊節の長さは3である。
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簡単な例
まだ混乱しているのか?分かったか。特殊節を作ることは短いコンピュータプログラムを書くこととかなり似ている。プログラム作成はさほど難しくはないが、方法を学ぶことには時間がかかる。時間と習得。特殊節を作成することは一晩で学べることではないが、一つできてしまえば、本当に壮大なシナリオを作成しないではいられなくなる。
そしてそれは難しいことではない。ここに3つの着実に簡単な例を掲げ(詳細は付録を参照)、おおまかな過程を示す。入門の章で作成したごく基礎的なシナリオなんかを読み込んで、"Edit Outdoor Terrain"を選ぶんだ。
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そうすると、パーティが足を踏み入れたときにテキストメッセージが表示される。また戻ってみるとやはり表示される。そこは、"S"のアイコンが表示される(編集時)。編集したい場合はさっきの特殊イベント作成/編集ボタンを押して"S"のアイコンがある地形をクリックすればよい。
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これは初期の特殊編集ウィンドウに処理フラグを加えたものとかなり似通って見える。2つのテキストエリアの上にある1番目とその右の2番目に処理フラグがある。これはこのイベントにリンクする処理フラグである。処理フラグが(3,4)となるように1番目に3、2番目に4を入れる。これに"Create/Edit"でメッセージテキストを編集して、最後に"OK"で特殊イベントの編集を終了する。
何が起こるかを見るためにゲームを立ち上げる。そのイベントに立ち入ってテキストを見る。イベントの後、白い丸が消滅していることに気が付くだろう。白い丸のある地形の"One
Shot"特殊イベントを置いた場合は、BoEではその特殊イベントを訪れた後にその地点を削除する。
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再度特殊イベント作成/編集ボタンを押し、イベントの地点をクリックする。"General"を押し、"Display
Message"を選び、"OK"を押し、"Create Edit"を押して適当なことを書く。"You
get hurt, or whatever."これがリンク先の最初の節である。
今は、この特殊イベントでいろいろなことをさせる。いろいろなイベントを共にリンクする。これを行うには、この特殊節から他の節を呼び出す必要がある。
それが下の方にある"Jump To"(ジャンプ)である。 "Jump To Special"はこの節が処理されると呼び出される節である。
特殊イベントでジャンプさせるには、"Jump To"の横にある"Create/Edit"を押す。特殊イベント編集ウィンドウは勝手にリセットされる。いま現在は異なる特殊節を編集している。この特殊節はパーティにダメージを与えるものである。"Affect PCs"を押し、"Do Damage"を選ぶ。今は特殊イベント編集ダイアログにあるテキストエリア全てが数値待ちになっている。ここでは、サイの数(Number of Dice)を3、面数(Number of Sides on Dice)を5、予備ダメージ(Extra Damage)を2、ダメージの形式(Type of Damage)を1とする。この節では3つの1から5までのランダムな数の和に2を加えたものがプレイヤーに与えるダメージとなる。なお、ダメージの形式が1の時は炎によるダメージである(ダメージの形式は以後に述べられる)。
それでも"Create/Edit"を押して他のテキストメッセージを作成できる。特殊節の多くはこの種類のボタンを有していて、特殊節をテキストを伴って呼び出すことも可能である。
今はさらなる特殊節を必要とする。リンク先の3番目の節を作成するには、再度"Jump
To field"を使用する。これを押して3番目の特殊節を編集する。"Affect PCs"を再度押し、"Affect
Poison"を選ぶ。テキストエリアに新しいメッセージが現れる。量(0〜8)を入力してから、以下に0:治療、1:服毒のいずれかを入力する。"OK"を押して一連の特殊節は完成。
約束事として、再度シナリオを立ち上げ、このイベントを呼び出す。パーティーはダメージを受け、毒に冒される。
これは特殊節のほんの触りでしかない。"If-Thens"は、状況によって(処理フラグが適宜な値の場合や、パーティが十分なお金を持っていないときなど)2、3の異なる特殊節を呼び出せる。"Town Specs"は階段で他のフロアへ移動したい場合や、床を冷気や炎の床で覆う場合などの街の特殊節である。これを読めば、特殊節の基礎や作用のさせ方を知ることになる。
編集ダイアログ(The Editing Dialog)
特殊節の種類は200に上る。これらの節は、効果や、付録の"Special Nodes"の項目に記されているようなことを決定するのに必要な値である。これらの読破を通じて、特殊節の効果がどのようなものかを決定する最良の方法で、シナリオの作成に当たってのアイデアを得ることとなる。
特殊イベント編集ダイアログはフィールドとボタンを有していて、いずれも特殊イベントの特性を決定付ける。
全ての節において以下のフィールドにおいては、"place a"が-1、"leave a"が-1の場合は、効果がないことを意味しておいる。メッセージエリアが-1の場合はメッセージが表示されない。
形式選択ボタン(Type Selection Buttons)−上の方に6つのボタン(General,One Shots,Affect PCs,If-Thens,Town Spec,Out Spec)があって、特殊イベントの異なったクラスの1種のリスト(ダイアログ)を表示させる。これらのクラスは、それが用いられると(街の節は野外においては効果がない等)、付録で述べられているようなことが起こる。
処理フラグ(Stuff Done flags)−多くの特殊節は処理フラグの変更あるいは判定のいずれかを行っている。2つのテキストエリアに処理フラグ(座標)を入れよ。
メッセージ・グラフィック(Message 1, Message 2, Pict)−ある種の特殊節はスクリーンにテキストが表示される。他はダイアログボックスの中央にテキスト、左上にグラフィックが表示される。表示させるメッセージ番号やグラフィック番号をテキストフィールドに入力する。
どのグラフィックやテキストメッセージも続き番号を有している(どの街も0〜99の100のテキストメッセージを有する)。時間の大半は、実はこれにかかってくる。幸いにも、これを扱うのが容易な方法がある。テキストメッセージを作成/編集するのに"Create/Edit"ボタンを押し、"Choose"でグラフィックを選ぶ。これらのボタンは特性値を必要とするときにだけ現れる。
特性(Extra 1a and Extra 1b, Extra 2a and Extra 2b)−多くの特殊節が要求している回復させるHP、処理フラグを設定する値、得られるアイテム番号といった異なる値である。特殊節タイプを選ぶと、テキストフィールドの右側に入力した値が何というものかを表示する。
Extra 1a、Extra 2aなどは場合によってアイテムや地形、キャラクタータイプを求めている。大半の特殊節においては、これが起こると、"Choose"ボタンを押して適宜なものを選択する。
同様に、Extra 1b、Extra 2bは呼び出す特殊節を要求する。これが起こるとテキストエリアの右側"Create/Edit"ボタンが現れる。これを押すと呼び出される特殊節を編集する。
ジャンプ先(Jump To)−特定の特殊節は、Extra 1bあるいはExtra 2bに入れた異なった特殊節を呼び出す。これが起こらなければ、特殊節は"Jump
To"に与えられ、(言い換えれば、数値が-1でない場合)特殊節は素通りして呼び出される。
フィールドにおけるこれらの意味は除外しないわけにはいかない。特定のフィールドは時折異なった事項を意味し、特定の節は、呼び出される"Jump
To"節を妨げる。これらの除外は付録の節のリストにおける個々の節の種類に詳述される。
特殊節を挿入する(Inserting Special Nodes into a Chain) −仮に3つの特殊節をリンクするとみなし、その中の一つが抜かされたとする。
テキスト表示、パーティへのダメージ、経験値の獲得の順と仮定する。メッセージを返す特殊節16を作成し、"Jump
To"側の"Create/Edit"ボタンをクリックすると17番の節に来て、17番で経験値を獲得するとしてしまったら、パーティへのダメージの項目を忘れてしまったみたいだね。
"Create/Edit"ボタンは呼び出される特殊節の番号を入力するテキストフィールドの右側にある。これを押すと新たな特殊節を得て、値が-1であったら新しい節を、0以上であればその節を編集することになる。
上の例では、16と17の間にパーティへのダメージの特殊節を設置することだな。16へ行け。"Jump To"には17が入っているね。これを-1にしよう。そしたら、"Create/Edit"ボタンを押すと新しい節が入る。そうしたら好みの節を作成して(この例ではパーティへのダメージ)、"Jump To"を17にするんだ。ほら、リンクが3節になっただろ!
特殊イベントを編集する他の方法
シナリオのメニューバーで"Edit Special Nodes"を選ぶと、現在の街あるいは野外のブロックの節が一覧で表示される。クリックするとその節を編集する。特殊節がたずねられる(Advanced Town Propertiesみたいな)ダイアログボックスでは、"Create/Edit"ボタンではない。これらの命令で特殊イベントを作成するには、"Edit Special Nodes"ウインドウで特殊イベントを作成し、リンク内の最初の特殊節を覚え、さらにその特殊節を適当な場所("Advanced Town Properties"ウインドウにある"Special To Call When Town Entered"のような)に入力する。
制限
たくさんの特殊節を作成すれば、たくさんのテキストも入る。どの街も最大100のメッセージを有する最大100の特殊節を持つことができる(どのダイアログも6つのテキストメッセージを使用し、注意しないと早く消費してしまう)。どの野外ブロックも最大60の特殊節に最大90のテキストメッセージを有する。総じて、シナリオ全体では256の特殊節、アクセスできる100のメッセージを有する。
特殊節が呼び出されると
街の地面に特殊イベントを置いたら、(当然ながら)パーティが足を踏み入れると呼び出される。パーティが足を踏み入れることができない場所に特殊節を置くと、その部分を"見る"事で呼び出される(箱に仕掛けられた罠など)。街中で特殊節が作動すると、街の特殊節が呼び出される。野外の場合でも足を踏み入れたり、見ることで同様に呼び出される。
特殊イベントのほとんどは野外や街の中の特殊な空間に足を踏み入れると呼び出される(あーしつこい)。加えて、水面に置くとボートで進入することでイベントが呼び出される。だが、街中の水域では呼び出されない。
シナリオ特殊節は2,3の異なる方法でしか呼び出されない。シナリオ特殊節を呼び出す"Call
Global Special"というものを使用できる。それと、特殊アイテムを使用することで発現する。
パーティが街中にいる間時事刻々と変わっていく街の特殊節を指定できる("Town
menu"の"Set Town Event Timers"を選択)。シナリオにおいても同様のことができる("Scenario
menu"の"Set Scenario Event Timers"を選択)。
かなり重大なことに、会話の間に呼び出される特殊節も持つことができる(会話の最中でメモを取ったりなど)。これは、"Dialogue"の章で詳細を述べる。
長いですね。休憩しながら焦らないで読んで下さい。重要なところですから。
時間経過
シナリオが始まると、シナリオは1日目に設定され、何もしない状態から冒険は始まる。パーティが何かをすることで世界やイベントが時間と共に変化していく。
3700歩ごとに1日進む。特定の日になると呼び出される"If-Then"特殊節を使用できる(街中に突如としてDemon族が現れたりするなど)。その日になると現れたり消滅したりするキャラクターを作成できる。これは、"Editing
Towns"の章にある"Advanced Monster Settings Dialog"で設定できる。
だが、1日ごとにいろいろ変わるというのはいけない(3、4日〜1週間に1度、あるいは特定の日にフリーマーケットやお祭りなどが開催されるというのはかまわない)。パーティが現実に行ったことが基となって起こるようにすればよい。この場合、イベントを使用できる。どのシナリオでも20の大イベントを持てる。街に着いたときや宝物が盗まれたとき、あるいは重要なキャラクターを抹殺した場合などである(なお、特殊イベントと区別するために大イベントと称する。大イベントは文字通りシナリオに大きく響くようなものである)。大イベントが起こると、"Major
Event Has Occured"というタイプの特殊節が呼び出される。例では、Goblin Chiefを殺した場合を大イベント4とすると、そのキャラクターを殺したときに特殊節が呼び出される。その節はもちろん、"Major
Event Has Occured"で大イベント=4に設定されていなければならない。
大イベントの目的は、シナリオ全体で起こるか起こらないかの決定である。大イベントの発生はハプニングによる悲惨なことを防ぐこともできる。例としては、Goblin
の一隊が90日目になって街を攻撃して街中のキャラクターの一人であるFredを殺害するとみなす。これは、90日目にならないうちにGoblin
Chiefを殺害することで未然に防ぐことができる。というような場合である(大イベント=4)。
Fredを街中に設置したときに、"Advanced Monster Setting Dialog"を呼び出して"When
Is Creature Here to Appear On Given Day"を設定する。"Day Creature Disappears"フィールドに90を入力し、消滅を防止する"Event
Code"に4を入力する。このキャラクターは90日目に消滅し、大イベント4で防止できるというわけだ。
同様に、キャラクターと話をすると、イベントが起こるか起こらないかによる応答を作成できる。同じ街にいるSueがFredについて話すとする。Fredが死ぬ前は、彼について良いことを言う。死んだ後は「彼は殺されてしまったんだ」と言う。Sueの会話ダイアログに書くときは、"Depend On Time(and event)"のダイアログ節を与える。応答の変化(1番目の入力フィールド)を90日目とし、変化を防止する大イベント(その次)を4とする。Fredが殺されてしまうと(Goblin Chiefを生かしたまま90日目になると)、2番目のテキストで応答する。それ以外(90日目になる前やそれ以降でもGoblin Chiefが殺害された場合)は1番目のテキストで応答する。
最後には"If Then"特殊節150を使用できる。特殊なこととは?日にちやイベントによって異なる特殊節が呼び出されるというものである。
大イベントの使用はシナリオに味付けをする良い方法である。キャラクターは消滅したりするかもしれないものの、大イベントの出現でこれらを防止することで、時間がかかると感じられるものを作成できるんだ。これはプレイヤーの執念を真に感じさせるものを作成できるというものだ!